Bさんが税務署から“狙われた”ワケ
相続税調査が行われる場合、税務署は、金融機関に対して預貯金の口座残高や取引履歴を問い合わせることができます。その調査範囲は最大で過去10年分におよび、税務署は調査対象の被相続人と相続人家族の口座の動きをくまなくチェックします。
今回、相続税の申告をきっかけにBさん家族の預貯金を調査したのでしょう。すると、Cさん名義で2,750万円もの預貯金を発見。この口座の動きを調べてみると、すべて被相続人であるAさんの預金口座からの振り込み……相続税調査では、現預金の漏れがないかを調べるため名義預金を重点的に調べます。このため、Bさんは税務調査の対象として選ばれてしまったのでしょう。
税務署から「名義預金」と指摘されないために
では、名義預金と指摘を受けないようにするにはどのような方法を取っておけばよかったのでしょうか。名義預金とされないためには、贈与を受けたという事実が必要です。よって、次のような方法が考えられます。
1.贈与契約書を作成する
名義預金と指摘されないためには「贈与の事実」が必要となります。贈与契約は口頭でも成立しますが、後日の税務調査にそなえるためにも、贈与の都度、贈与契約書を作成しておくとよいでしょう。
贈与契約書では、誰から誰に、いつ、なにを贈与したのか明確にしておき、署名・捺印をしておきましょう。インターネットで検索すれば書式をダウンロードできるため、自分でも作成可能です。
2.銀行振り込みで証拠を残す
総夜をするときは、現金の手渡しでなく、銀行振り込みにしましょう。上記贈与契約書とあわせて、誰から誰に、いつ、いくらを贈与したかの証拠となります。
3.贈与された人が通帳や印鑑を管理する
贈与をしたということは、贈与を受けた人がその財産を自由に使える状況でなければなりません。今回のように、贈与した人が通帳と印鑑を管理すると、名義預金と判断される原因となります。
どうしても子に内緒でお金を渡したいという場合は、預金の贈与ではなく、保険金等ほかの方法を検討すると良いかもしれません。
名義預金は相続税調査の“重点項目”…贈与は慎重に
今回の事例のように、贈与を行っていたつもりが、税務調査でその贈与が否認され、名義預金として課税されるケ-スが増えています。これは、名義預金が相続税調査の“重点項目”とされているからだと考えられます。
現預金の相続税申告漏れの場合、重いペナルティを課されることも少なくありません。贈与の際は、場合によっては専門家の確認を仰ぐなど、慎重に行いましょう。
また、相続が発生した場合には、家族名義の預金についてよく確認しておくことをおすすめします。
宮路 幸人
多賀谷会計事務所
税理士/CFP
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