年110万円までは非課税でしょ?…年金月35万円の80代・元公務員夫婦、溺愛する51歳ひとり息子への“お小遣い”に「多額の追徴課税」のワケ【税理士の助言】

年110万円までは非課税でしょ?…年金月35万円の80代・元公務員夫婦、溺愛する51歳ひとり息子への“お小遣い”に「多額の追徴課税」のワケ【税理士の助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査というと、個人事業主や法人のイメージが強く、会社員や主婦など個人にはあまり関係がないと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、そんなことはありません。税務署は個人に対しても目を光らせているのです。専業主婦ながら多額の追徴税を課されてしまったAさんの事例をみていきましょう。多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士が解説します。

相続税調査官から告げられた「まさかの事実」

調査官「ところで、Cさん名義の2,750万円の預金。こちらはどのように貯められたのですか?」

 

Bさん「あぁそれは、Cが地元に帰ってきたタイミングで、Cの名義で口座をつくったんですよ。私たち夫婦になにかがあったときのために、Cへのお小遣いとして毎年110万円を入金していたんです」

 

調査官「Cさんはこの贈与を受けていることを知っていましたか?」

 

Bさん「いえいえ、Cが余計な贅沢をしないように、私たちが元気なうちはCに内緒にしておこうと夫と約束していたので、通帳と印鑑は私が持っています」

 

調査官「そうですか……であれば、この預金もAさんの相続財産になるので、相続税の申告が必要ですね」

 

Bさん「えっ……いやいや、そんなはずないわ。だって年110万円までは非課税のはずでしょう? それくらい、私でも知っていますよ」

 

調査官「残念ですが、今回のケースでは当てはまりませんね。Cさんに贈与を受けた認識がなく、さらに通帳の管理もBさんが行っているのであれば『贈与の実態がない』ため、この口座は名義預金となります。よって、相続税の申告が必要です」

 

Bさん「そんな……ちょっと待ってください。Cはいま無職なんですよ!? なんとかなりませんか?」

 

Bさんの懇願も虚しく、Cさん名義の預金2,750万円に対して、相続税のほか、加算税や延滞税などあわせて1,000万円ほどの追徴税を課されてしまったのでした。

 

非課税枠内の贈与のつもりが「名義預金」扱いに

このように、親が「わが子のために」と子の名義で口座をつくり、その口座に積み立てていた結果、相続時に問題になるというケースは少なくありません。

 

口座の名義人とお金を積み立てている人が異なる預金を「名義預金」といいます。いくら子のためとはいえ、客観的な贈与の事実がない限り、名義預金として「贈与者の相続財産」とされてしまいます。

 

では、今回なぜBさんが相続税調査の対象となってしまったのでしょうか。

 

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