実家の片付けにはコツがある
誰も住まなくなった実家の再生は、実家をきれいに片付けるところから始まります。貸すだけでなく、売るにしろ建物を取り壊すにしろ、いずれにしろ室内の片付けは必要です。
ところが多くの場合、実家には遺品や家財などが置いてあります。それらを何も確認しないまま十把一絡げに処分してしまうのはさすがに心理的な抵抗があるでしょう。
「えいやッ」とすべて捨てられるなら問題はありませんが、どうやって片付けたらいいのかわからず、とりあえず少し手をつけてみて諦めてしまう人が少なくありません。
今回は私が自分自身で岡山の実家を片付けてみたり、知人にアドバイスしたりする中で見つけたやり方を説明していきます。
気持ちの整理をつけるのが先決
実家の片付けは、亡くなった親はもちろん、建物や土地に対する追憶の念や名残惜しさが強いうちは手をつけないほうがいいと思います。「そろそろ整理したらどう?」などと周りからせかされても、自分が「片付けよう」と思えるようになるまでは待つことをお勧めします。
ただ、いまの話と矛盾するように聞こえるかもしれませんが、実家の片付けというのは家の中の家財を整理するだけでなく、そこで家族と暮らした思い出を整理するということです。
大事なことは、「過去の温かい思い出の数々」ともう一度向き合い、感謝することで自分の気持ちに区切りをつけることです。
実家を離れてすでに数十年という人も少なくないでしょう。生まれてから(あるいは引っ越してきてから)実家を離れるまでの思い出とともに、「昭和の戸建て」があなたを待っています。だからこそ実家の片付けでは、自分の気持ちがとても大事なのです。
ほとんどの遺品や家財は捨てるしかありません。ただ、どれを捨て、どれを残すかの判断に一定の時間がかかります。現金や預金通帳、株券などはもちろん残せばいいのですが、そのほかの線引きが難しいのです。
最低限残すものは何か、選びきれないので苦しんだり、悩んだり、そして諦めてしまうのです。
大事なのは、片付ける前に「片付けない時間」を持つこと
そこで大事なのは、片付ける前に「片付けない時間」を持つことです。実家を片付けるために1週間帰省するとしたら、最初の2~3日はタンスや押し入れ、納戸、倉庫などにしまってある遺品を一つひとつ取り出し、箱を開け、アルバムをめくり、目を通す時間に当てます。
「こんなものが残っているのか」「これはあのときの写真だな」といったふうに確認し、一つひとつに感謝とお別れを伝えます。そういう個人的な儀式の時間を持つと、気持ちが次第に落ち着いてくるのを感じるはずです。
必要な時間は人によると思いますが、1日ではやはり短いでしょう。経験的には3日くらいがちょうどよいのではないかと思います。
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