実家を片付けるとき、意外と盲点になっている大切なことがあると、不動産投資家で空き家再生コンサルタントの吉原泰典氏は言います。それは一体何なのでしょうか? ご紹介していきます。※本連載は、吉原泰典氏による著書『「空いた実家」は、そのまま貸しなさい』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・再編集したものです。
私が経験した岡山の実家のケース
私の場合、もともと両親が住んでいた岡山市内の実家はしばらく空き家の状況が続き、コロナ禍になるとまったく帰れず、家財道具はそのまま放置状態でした。2022年の秋からようやく重い腰を上げて片付けに帰るようになりました。
まず、遺品や家財を見るだけのために1泊2日で3回、帰省しました。最初は妻と娘も一緒に来たのですが、半日もしないうちに飽きてしまったので、2回目からは私一人で行きました。
整理を始めると、本当にいろいろなものが出てきました。両親の結納の式次第、自分が生まれたときの臍の緒、おばあちゃんがくれたおもちゃ、同級生からもらった手紙など、忘れてしまっていた過去が真空パックされていたかのように瞬時に蘇ります。
祖父の大工道具も出てきました。祖父は大工で、実家は祖父が自分で建てたものです。最初は平屋でしたが、2階を増築したのも祖父です。建物はいまでもすごくしっかりしており、祖父の大工道具はそういう我が家の歴史の象徴です。
それらを手に取って見ると、家族の歴史をリアルに感じることができ、また自分が家族から愛されて育ったことをしみじみ再確認できました。
そういうものをできれば誰かに使ってもらったり、寄付するのもいいと思います。私も親戚に声をかけました。ただ、引き取ってくれるケースはまれで、実際はほとんどのものを捨てるしかないのが現実です。
不動産投資家・空き家再生コンサルタント
1988年同志社大学卒、日本電信電話株式会社(当時)入社。その後、NTT西日本において営業部長としてフレッツ光回線の普及に尽力したほか、労組本部役員としてIT情報通信政策に深く関わった。
29年間勤務した後、51歳で同社を退職し独立起業。NTT時代に培った多岐にわたる知見を活かし、ビジネスオーナーとして活動中。
不動産投資家としては、リーマンショック前に海外不動産投資からスタート。その後、国内不動産に活動のベースを移し、現在は首都圏を中心に数多くの新築、中古の一棟マンション等を保有。不動産投資のセミナー講師としても人気を博す。
自らの体験から「空いた実家」をそのまま貸すことが、増え続ける空き家問題の有力な解決策になると確信。これまで培った豊富な不動産投資の経験・ノウハウをベースに、「空いた実家」を再生活用するための正しい情報と実践的なテクニックを本書で体系化した。
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連載「誰もすまなくなった実家」をそのまま貸すためのノウハウ