中国人とのビジネス交渉で忘れてはいけない「性悪説」

今回は、中国人との「ビジネス交渉」を行う上で持つべき心構えについて見ていきます。※本連載は、世界4カ国で20年もの経営経験をもつ平沢健一氏の著書『アジアビジネス成功への道』(産業能率大学出版部)の中から一部を抜粋し、中国・インドでの交渉術や、勝ち抜くためのノウハウを紹介します。

「中国流戦略」に翻弄されてはならない

交渉に入る前に以下の4点を確認しておきます。

 

①中国語を勉強しておく

 

中国人は、日本人が一生懸命中国語を使うことをことのほか評価します。米国人や英国人に英語で話す、イタリア人にイタリア語で話す以上に喜んで褒めてくれ、会議の雰囲気が和みます。挨拶程度を脱するくらいのレベルで今後も上達したいという強烈な意欲を伝えておくことが大切です。

 

②異文化コミュニケーション力を鍛える

 

この点も極めて重要です。勝つためには何でもありきという中国人の考えに、異文化理解は触媒の役を果たしてくれます。すさまじい大声と迫力の伴う交渉に閉口しないためにも、4000年の歴史や文化、そして広い中国を知っておき、彼らの主張は「大河の一滴」と思えば怒りも薄れてきます。

 

③「性悪説」を忘れない

 

「性善説」の孔子も「性悪説」の韓非子も中国生まれです。私のビジネス体験、とりわけ中国ビジネスでは、「性悪説」が突出していました。その本質を、書物や経験者の生の話を参考にして、自分のビジネスに活かしたらよいと思います。

 

④中国流戦略に翻弄されない

 

中国人との交渉における中国人独特の次の3つの戦略をあらかじめ知っておき、これに慌てて翻弄されるようなことがあってはなりません。

 

●引き延ばし:際限なく引き延ばしてくるから、本音をしまい込んで譲歩は最後の最後まで取っておき、基本は断固拒否する。

 

●非難やどう喝:相手を威嚇し、居心地を悪くさせ、諦めさせようとするから、平気の平左で右から左に受け流す。

 

●ごまかし:相手をだましても、自分の言いなりにさせようとするから、強く「ノー」と言う。

 

以上のことから、日本人の良さである勤勉、努力、忍耐、正直、思いやり、礼節などはそのままでは中国人に通用しないと思った方がよいでしょう。

意見は「はっきり・具体的に・自信を持って」主張

そこで次のような心構えが必要とされます。

 

●直接主張をぶつける。遠慮はしない。怒る時は怒る。メリハリを利かせて全部を語り、場合によってはどう喝も辞さない。

 

●甘えのない国なので、日本人の「沈黙は金」や「以心伝心」は欧米人以上に能力なしと即断されるので注意する。

 

●はっきり、具体的に、率直に、明確に、細かく、自信を持って大声で言う。

 

●感情は極力抑え、語調は変化させない。

 

●相手を簡単に信じない。相手の言ったことの裏を読み、すぐに謝らない。

 

●スピードが何より重要。中国ビジネスはドッグイヤーどころかマウスイヤーと呼ばれ、18倍速で走っている国だと思った方がよい。

 

●断られても絶対諦めない。ただし、それが相手の誘い水であったケースもあるので注意も必要。

 

●証拠主義の国だから、常に証拠を残しておく。賞と罰を徹底してロジカルに交渉することが大切。

 

●言葉でなく、すべて行動で判断する。メンツと相手との関係が極めて交渉に影響を与えるので、全身全霊を使って相手と自分の状況を調べ応用していく。

株式会社トランスエージェント 会長
G&C(グローバル&チャイナ)ビジネスコンサルタント 代表
アジア立志塾 代表 

早稲田大学第一商学部卒業。15年間日本ビクターで国内営業、本社国内課長後、1982〜87年米国ニューヨーク駐在、テレビ初代マーケティング部長、ニューヨーク営業所長。88〜96年イタリアミラノ駐在、JVCイタリア初代社長。96〜98年英国ロンドン駐在、JVCヨーロッパ副社長、欧州副本部長。98〜2002年中国北京・上海に駐在、日本ビクター理事、JVC中国社長、会長。この間4ヵ国20年間海外現地法人経営。56ヵ国をビジネスで訪問。
現在、株式会社トランスエージェント会長、G&C(グローバル&チャイナ)ビジネスコンサルタント代表、(一財)海外職業訓練協会理事、(株)イチビキ特別顧問、NPO法人日本交渉協会特別顧問、北京金杜法律事務所顧問、日中関係学会理事、アジア立志塾代表。

著者紹介

連載ビジネスに役立つ「アジア流交渉術」〜中国・インド編〜

本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『アジアビジネス成功への道』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

アジアビジネス成功への道

アジアビジネス成功への道

平沢 健一

産業能率大学出版部

アジアの14ヵ国で成功を収めた14人の経営者と、世界4カ国20年の経営経験をもつ筆者が、グローバルビジネスの中心となってきたアジアビジネスでの成功の秘訣を語る。アジアビジネスでの苦労や成功体験はもちろん、アジア各国で…

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