(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資で得られる利益は大きく2種類で、株価上昇で狙える「値上がり益」と、保有している限りずっと受け取ることができる「配当」です。両者のどちらを目的に投資するかで、狙う銘柄も利益水準も異なりますが、なかにはその両方を狙える「欲張り株」が存在するようです。本記事では『決算書3分速読から見つける10倍株ときどき50倍株 2年で資産を17.5倍に増やした元証券マンの投資術』(KADOKAWA)から、著者の〈かぶカブキ氏〉が、そんな「欲張り株」の見つけ方について、解説します。

高配当と株価成長を両取りする方法

配当利回りが高い銘柄は総じて、成長期待が小さい傾向にあるので、値上がり益を狙うことを考えると高配当株はターゲットにならないことが多いのですが、例外がないわけではありません。

 

現実に高配当株の株価が急成長し、それに伴い配当の額も増えて(増配)、キャピタルゲインとインカムゲインでウハウハになる例はあります。

 

実は高配当銘柄の中から、成長銘柄を探すのは意外と簡単です。高配当業種の中から銘柄発掘のプロセスを実行し、ビッグチェンジを探せばいいのです。

 

そのプロセスとは、「決算短信を見て、増収増益を確認する」「決算短信のコメント欄で、増収増益の理由や背景を確認する」「前四半期比(QonQ)での推移を確認する」の3STEPです。数としては多くはないため投資チャンスは減るものの、難易度としては決して高くはありません(※)。

 

※詳しくは「50倍の大化け株」はどう見つける?元証券マンも実践した「ビッグチェンジ」な企業の見極め方」で解説。
 

高配当銘柄の多くは、景気敏感業種(シクリカル系)です。具体的には、半導体、化学、非鉄、電気、輸送用機器、銀行、不動産、鉄鋼、機械、精密、商社、証券などの業種です。これらの業種に属する企業は、概して配当利回りが高い傾向にあります。

 

なぜ景気敏感株の配当利回りが高いかというと、景気敏感株は景気によって業績が左右されやすいうえに、成長性自体が低い業態だからです。成長力が低いということは、どんどん人員を採用して増やしたり、業績拡大のために設備投資や広告を打ったりする必要性がないので、その分配当に回せる原資が大きいということにもなります。将来の成長期待に乏しいので、PERも低く、割安な傾向もあります。

 

一般的な傾向としては、景気敏感業種には大企業が多く、株価の上昇期待が大きい成長株は企業規模が小さいのですが、すべてがそれにあてはまるわけではありません。

 

たとえば、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは誰もが認める大型株ではありますが、いまだに成長を続けるグロース株です。配当利回りは1%にも満たない水準で、100倍をゆうに超える高いPERが市場の成長期待の大きさを物語っています。

 

同社は常に新しいアトラクションのプランを発表し、実際に大規模な投資を継続しています。まだまだ成長を継続している企業なので、配当を増やすような余力はないのです。同社の社員数を見ても、年々増加しているのがわかります。

 

[図表1]オリエンタルランドの連結社員数

 

一方景気敏感業種はといえば、そんなに急激に人員を増やすようなことはありません。

 

たとえば日本郵船は、社員数が増えていません。投資するといっても、船を増やしたり、社員のボーナスを増やしたりする程度で、毎年利益を圧迫するほどの大規模な投資を続けて高成長を志向しているわけではないので、余った利益は株主にたっぷり配当できるのです。

 

[図表2]日本郵船(日本郵船含む連結ベース)の社員数

 

こうした安定的で低成長のはずの企業でも、なんらかの影響で業績が劇的に向上するようなことが、まれではありますが起こります。そうなると、株価は急激に上昇するうえ、配当の原資となる利益も膨れ上がります。

 

こういった景気敏感業種が急激に業績を伸ばすビッグチェンジは、まさに「株価成長×高配当」の両取りができるので、狙ってみる価値は十分あるでしょう。

 

 

かぶカブキ

元証券マンの個人投資家

 

※本記事は『決算書3分速読から見つける10倍株ときどき50倍株 2年で資産を17.5倍に増やした元証券マンの投資術』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。

 

 

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