患者数は毎年300万人超え…“うつ病”で配偶者が働けないから、を理由に「離婚」することが非常に難しい理由【弁護士の助言】

患者数は毎年300万人超え…“うつ病”で配偶者が働けないから、を理由に「離婚」することが非常に難しい理由【弁護士の助言】

現代のストレス社会ではうつ病の人が増えているとメディアで報じられています。もし夫がうつ病になり仕事ができなくなった場合、家庭生活にも大きな影響がおよび崩壊することもあり得ます。本記事では、Authense法律事務所の弁護士白谷英恵氏が、うつ病を発症し働けなくなった夫と離婚できるのか、また慰謝料を請求できるのか、詳しく解説します。

離婚までの準備

上述したように、うつ病の配偶者と離婚することは困難であるといえます。それでも条件を満たし裁判所が認めれば離婚できないわけではありません。

 

具体的にどのように離婚に向けて準備をすればよいか、ポイントをご説明します。

 

まず協議離婚を目指す

配偶者のうつ病の程度が重度の精神病と判断されなくても、お互いが離婚に同意すれば離婚することができます(民法第763条 夫婦は、その協議で、離婚をすることができる)。

 

まず離婚について条件を含め相手と話し合いの場を持ちます。もし相手が取り乱し、逆上して一対一ではまともな話し合いにならない、相手が会うことすら拒否している場合などは、第三者または弁護士などの専門家を通じて交渉することで解決できることもあります。

 

話し合いで離婚に至らなかった場合は調停を申し立てます。調停委員2名を介した話し合いで、お互いが顔を合わせることなく離婚条件について交渉します。さらに調停で解決しなかった場合は離婚裁判へと進み、最終的に裁判所の判断を仰ぐことになります。

 

そのほかの離婚理由はないか

配偶者である夫がうつ病と診断されたとき、妻は夫が回復するため一緒に協力して頑張ろうと思ったはずです。

 

しかし家事や育児をこなしながら夫の世話をしてきたものの、「薬を飲まなくなり仕事も辞め、家計が苦しくなった」「家庭内で暴れて暴力をふるったり、自殺未遂を繰り返すようになった」などの状態では、妻もうつ状態に陥ってしまうでしょう。それを目の当たりにしている子どもの精神状態に悪影響をおよぼすこともあります。

 

このような場合、配偶者のうつ病が原因で離婚を決意した場合の離婚事由で、「四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。」ではなく、「五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」を理由にできる可能性があります。

 

第三者からみて配偶者のうつ病が原因で明らかに正常な家庭生活が継続できなくなった、離婚は致し方ない状況であると判断される場合、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」として離婚が認められます。

 

証拠をそろえておく

裁判では離婚事由として裁判官に判断してもらえる証拠が必要です。調停でも納得できる証拠があれば、調停委員や審判官(裁判官)が相手に対し説得してくれる判断材料となり、調停がスムーズにいくことが考えられます。

 

<うつ病に関する有利な証拠>

・専門医の診断書

・治療履歴

・暴力を受けたときのケガの診断書や写真、音声データ

・物を投げつけたり物に当たって壊れた物の写真(または現物を保管)

・暴言や暴力などの詳細を記した日記

うつ病の配偶者から慰謝料や養育費はもらえるのか

それでは、実際、離婚に至った場合、うつ病の配偶者から慰謝料はもらえるのでしょうか。

 

慰謝料について

うつ病は病気であり、かかった本人が一番苦しいはずです。仕事もできず収入もない状態であれば、慰謝料を請求することは非常に困難でしょう。

 

ただし相手がうつ病のため実家に帰ってしまい、「民法第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という義務を放棄した場合、またはDVがひどく身体的・精神的に被害を受けた場合で、かつ相手に資産があれば慰謝料請求が認められることはあります。

 

養育費について

慰謝料は配偶者から受けた精神的損害に対する損害賠償ですが、養育費は親の子どもに対する扶養義務に基づいて支払われる金銭ですので、まったく別のものです。

 

うつ病でも収入があれば養育費を払う義務がありますが、働くことができず収入がなければ養育費をもらうことは難しいです。ただし慰謝料と同様、相手に資産があれば可能性はあります。

 

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