2024年11月に実施される米大統領選。トランプ前大統領(以下、トランプ氏)の再選が実現するか否か、高い関心が集まっています。このカギを握るのは、同氏が大株主として立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」を傘下に持つトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(以下、TMTG)という企業かもしれません。一体どのようなことでしょうか? ソフトバンク孫正義氏の元右腕である三木雄信氏がわかりやすく解説します。

TMTG上場の裏にある「仕掛け」

ここで読者の皆さんが疑問に持つのはどうしてそのような会社が上場できたのかということではないでしょうか?

 

コロナ禍でブームだった「SPAC上場」を活用

それは、アメリカにあるSPAC(スパック)という仕組みが大きく関係しています。SPACとは、“Special Purpose Acquisition Company”の略です。日本語訳では「特別買収目的会社」となります。

 

多くの場合、著名な経営者や投資家がその実績と信用をベースにして自ら事業を行わない「空箱」の会社、端的にいえばペーパーカンパニーを作ります。そして、その会社が、株式市場に上場し、資金を集めて上場後2年以内に将来性のあるスタートアップ・ベンチャー企業を買収するという仕組みです。

 

投資するプレイヤーから見れば、著名な経営者や投資家の企業を見分ける「目利き力」に賭けることができるというユニークな投資機会を提供する仕組みといえるでしょう。また、買収されるスタートアップ・ベンチャー企業からすれば、著名な経営者や投資家の経験や信用を利用して短期間に上場することができるという利点があります。

 

SPACはコロナ禍での金融緩和局面にあった2021年には、大いに活用され、2021年は最終的に613社がSPAC上場を果たし、1,625億ドルが調達されました。こうしたSPAC上場好調の影響もあり、2021年の米国での新規上場社数は前年比2倍となり、新規上場社数は1,007社となり、1995年以降で最高となりました。

 

しかし、その後開示に不備が見られ株価が低迷する企業が急増し、開示とその内容についての責任に関する規制強化の動きもありSPAC上場のブームは急速に萎んでいます。

 

SPACでの22〜23年の上場は100社弱、調達金額も約170億ドルと報じられています。

 

ちなみに、米国でのSPAC上場は地政学的リスクや⽶国の⾦融引き締め等によるIPOの市況悪化の影響やSPAC上場規制の強化の流れを受け減少傾向で、2022年上半期のSPAC上場件数は、2021年上半期と比較し、75%減となっています。

 

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