トゥルース・ソーシャルを傘下にもつTMTGの実力
このようにTMTGの2023年度通期の業績は、非常に厳しいものでしたがその実力はどうなのでしょうか?
Amazonは創業から6年間はずっと赤字だった
実際、IT業界では市場で競合とのシェア獲得競争に打ち勝つために、赤字であっても顧客獲得に注力していく戦略を取る場合もあります。たとえば、Amazonは、1995年にサービスを開始し1997年に株式を上場しましたが、ずっと赤字で、黒字化したのは2001年第4四半期でした。つまり、約6年間ずっと赤字だったということになります。
特に2000年にはネットバブルの崩壊でAmazonの株価は80%以上下落するという苦境に陥りました。その際にも、ジェフ・ベゾスはアニュアル・レポートの冒頭で、次のようなことをレポートしていました※1。
・2000年の顧客数は2,000万人で、1999年の1,400万人から増加した。
・売上高は1999年の16億4,000万ドルから2000年には27億6,000万ドルに増加した。
・また、最も重要なこととして、顧客第一主義を徹底した結果、アメリカの顧客満足度指数で84点を獲得。このスコアは、サービス業としては過去最高のもの。
TMTGの経営が早くも危ういといえる理由…IAC会長「株を買っている人はマヌケ」
では、TMTGもそのようなIT企業によく見られる赤字でもシェア獲得を目指す戦略なのでしょうか? ――どうやらそうでもないようです。それは、TMTGがアメリカ証券取引委員会(以下、SEC)に4月1日に提出した年次報告書※2からも読み取ることができます。そのなかには次のようにはっきりと書かれています。
Amazonとは、まったく異なる経営の姿勢であることがわかります。赤字でも上場して株価を維持していくためにはその中身を詳しく株主に報告していくことが必要なはずです。
また、TMTGは、そもそも報告だけでなく収集もしていないのですから、マネジメントを「同様の業界の企業が使用する特定の主要な経営指標」という数字ベースで行っていないということですから大変危うい経営といえると思います。
また、現在のフルタイムの従業員数はわずかに36人と書かれています。競合とされているX社(旧Twitter)の社員は1,500人(2023年4月23日、英メディア「BBC」のマスク氏へのインタビュー記事による)と比べると極めて弱い体制です。
こうしたことを受けて、旅行会社エクスペディアに加えてメディア大手IACの会長でもあるバリー・ディラー氏のCNBCによるインタビューでは、「トランプ・メディアは“詐欺”であり、株を買っている人は“マヌケ”」という発言までありました。
しかし、筆者はTMTGを「詐欺」ではないと考えます。なぜならばTMTGは年次報告書で次のように明示しているからです。
・TMTGは、トゥルース・ソーシャルを成長させて収益化する取り組みで成功しない可能性があります。
・TMTGの実際の財務状況および経営成績は、TMTG経営陣の予想と大きく異なる場合があります。
・トランプ大統領と関係のある企業の多くが破産を申請しましたし、TMTGも破産しないという保証はありません。
このようにある意味、非常に正直に情報が開示されています。こうしたことを考えれば、やはり「詐欺」は言い過ぎでしょう。株を買っている人が「マヌケ」かどうかはわかりませんが。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!