マニュアルは、いきなりきちんとつくる必要はない
しかし、マニュアルはつくらせるものだとか、つくってから育てるものだ、といきなり言われても、すぐにはどうしたらいいかわからないかもしれません。
どうしても無意識のうちに「きちんとつくらなければならない」と、考えてしまうからです。
私はクライアント先でマニュアル作成をするときには「10点合格でいいから、まずはじめましょう」と言っています。そのときに、クライアントにいつも最初に教える魔法の言葉があります。
マニュアルにこの言葉さえ書いてあれば、もう立派にマニュアルとして成立する、という魔法の言葉です。
上のマニュアル([図表1])を見てください。詳細欄に「所長に聞く」と、ひと言だけ書いてあります。これがマニュアル作成をスムーズにすすめる魔法の言葉です。
所長あるいは社長が最初につくるマニュアルは、このひと言だけ書いてあればいい。
たとえば、今回「受取利息を総額に修正する」という作業のマニュアルをつくるとします。新しく担当になった人が、やり方がわからないからマニュアルを見ると、「所長(社長)に聞く」と書いてあります。
新しい担当者は、所長(社長)に「(マニュアルに書いてあるので)所長(社長)、やり方を教えてください」と聞くはずです。
そこで、所長(社長)はその手順を口頭で教えてあげてください。
担当者は、所長(社長)から教わったことをマニュアルに自分で書き足して、自分が納得するマニュアルをつくって、所長(社長)に「これでいいですか」と確認します。
所長(社長)は、仕事を引き渡すときに、担当者にマニュアルをつくるために内容の説明をしたら、担当者に「マニュアルを更新して、できたら見せてください」と必ず伝えます。
担当者が「できました」と見せにきたら、それで合っているのか違っているのかを伝えて、修正してもらったり、足りないところを書きたしてもらったりします。それを繰り返していくと、だんだんと精度の高いマニュアルができあがります。
所長(社長)がつくるマニュアルには、どんなものでも「所長(社長)に聞く」というひと言だけ書いておけばいい。この「所長(社長)に聞く」は本当に便利な言葉です。
たとえば、20ステップぐらいあるような複雑な作業のマニュアルをつくるときにも、とりあえずはそのうち5つまでを書いて、その下に「所長(社長)に聞く」と書いておきます。
それでもマニュアルとしては成り立ちます。
もしも、1時間も2時間もマニュアルづくりに時間をかけてなどいられないと思う人は、5分でできますので「所長(社長)に聞く」と1行だけのマニュアルをつくってみてください。
なんでも0(ゼロ)から1(イチ)をつくるときが一番大変です。マニュアルも、「所長(社長)に聞く」というマニュアルさえあれば、その後のマニュアルづくりはものすごくラクになります。
マニュアルの残りの部分は、必要に応じて担当者が聞いてつくって、いつのまにか立派なマニュアルができあがります。
このように、最初から完璧を求めないこともマニュアルを上手につくっていくコツです。
あべき光司
EMP税理士法人 代表
国際コーチ連盟認定プロフェッショナルコーチ
※本記事は『オーナー士業(R)になって、たちまち年商1億円を突破する方法』(すばる舎)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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