人手不足を叫びながら「学歴フィルター」は緩和しない矛盾
もちろん一部の業界、特定の上級公務員などに一定の学歴フィルターが掛かっていることは衆目に一致しているところです。しかし、一般企業の大半まで学歴フィルターが浸透してきているのは問題であると思います。
かつ慢性的な人不足が叫ばれているにもかかわらず、この学歴の部分は緩和する傾向があまり見られません。すなわち、極めて少ない人を多くの企業が奪い合うというのは、こういうところからもいびつなかたちで発生しているのです。
今後とも状況の変化を注視しなければなりません。人不足が解決できないことで学歴フィルターが維持できなくなり、そのロジックが崩壊に向かうのか、それとも企業のさらに激しい人材争奪戦になるのか。それはやがて一般の社会にも浸透し、一層極端な受験戦争の復活に発展する可能性もあると思います。
学歴フィルターの復活については採用市場だけでなく、広く社会的な視点でよく観察していくことが必要なのではないでしょうか。
福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社
代表取締役社長