税務調査で「通帳を見せて」→不思議に思いながらも渡すと…
それから数年後、祖父の相続について、税務調査がくることになりました。相続税は税務調査の対象となる確率が高いとは聞いていたので、気にはとめていましたが、本当にやってくるとやはり、緊張します。
もちろん、地元の法人会や青年部などにおいて、税務調査についていろいろ聞いておいたので、まったくなにも知らないというわけではありませんでした。
そうして当日を迎えたある日、税務調査官から「通帳を見せてください」と言われます。
「法人会での話では、税務署は通帳の履歴はあらかじめ見れるはずだと聞いていたし、相続税の申告書においても直近のところは一部提出していたのに。わざわざ同じものを見る意味があるのかな? でもこの調子なら何事もなさそうか……」と不思議に思いながらも調査官に通帳を渡しました。
しかし、それはとても丁寧にメモが残された通帳でした。――そうなのです。調査官は通帳の履歴をみたいのではなく、そのメモ書きをみたかったのでした。
調査官「こちら写真を撮らせてください」
AさんとBさんもその場にいた家族の誰もその真意はわからなかったのですが、「はい」といって通帳を改めて見返してみて、「そういうことか!!」と気づいたのでした。
税務調査においては、調査官が自宅にきて、被相続人や相続人の状況の聞き取りをしますし、自宅の状況も確認します。税務著は通帳の履歴や移動状況は銀行で確認ができます。しかし「通帳にしかない情報」を調査官は知るために、この通帳を確認したかったのでした。
引き出した現金も“徹底調査”…メモ書きの「筆跡鑑定」まで行う税務官
調査官が通帳でなにを調べるかというと、もちろん申告の内容と一致しているかということです。
たとえば、通帳に孫や子供への送金のメモがあればそれについて贈与税の申告がされているかということを調べます。もし現金として出金していればその使途を確認することになります。
現金を引き出して自宅で保管していたとなれば「それはどこにありますか」と実際にあるかの確認も当然します。金庫のなかも確認することになるわけです。金庫のなかに申告していない現金や保険証券などがあればそれももちろん申告漏れの対象になります。
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