年収300万円の非正規雇用・35歳女性…“たった3年”で「年収1億円の経営者」になれたワケ【経営コンサルタントが解説】

年収300万円の非正規雇用・35歳女性…“たった3年”で「年収1億円の経営者」になれたワケ【経営コンサルタントが解説】
※画像はイメージです/PIXTA

日本では、年間約14.2万社、1日におよそ400社近くの法人が設立されています(東京商工リサーチ:2022年「全国新設法人動向」調査より)。もっとも、起業と聞くと「なにか特別なスキルや才能、資産がなければ難しい」と考える人も少なくありません。そこで、経営コンサルタントの鈴木健二郎氏が「誰もが持っている“目にみえない資産”を活用した起業」について、具体的な事例をもとに解説します。

地元コミュニティとの“絆”が背中を押した

美咲さんが経営者への道を歩み始めたのは、ある日、地元のコミュニティでのカジュアルな会話からだった。彼女は、地域に根ざした専門知識や技能を持つ人々がいるにもかかわらず、それが地域外でまったく活用されていないことに気づいた。この気づきが、彼女を動かす最初の一歩となった。

 

地域に伝わる伝統工芸、農作物の栽培技術や地元の料理法、また地域固有の歴史や文化に関する知識など……。これらの知識や技能は、その地域の人々にとっては日常的なものだが、外部の人々にとっては新鮮で貴重な学びの機会となり得る。

 

「地域特有の知恵を世界中の人々に向けて提供することはできないか?」

 

そう考えた美咲さんは、一念発起。会社を興してオンライン教育プラットフォームを立ち上げることにした。

 

ところが、ビジネスはそう甘くない。コンテンツには地域の独自性があったものの、立ち上げ初期は目に見える成果が出せないまま、運営は想像以上の困難が続いた。

 

資金の調達、信頼できる講師の確保、プラットフォームの技術的な構築など、挑戦は山積み。最初の1年は収益がほとんどなく、美咲さん自身、何度も諦めかけたという。

 

なにをやっても八方ふさがりに感じていたある時、友人のすすめで、地域の人々の専門知識や技能を広く紹介する場として、小さなワークショップを企画した。地域の人々がそれぞれ持つ独特のスキルや知識を活用して手作りの品を作ったり、料理のレッスンをしたり、伝統的な工芸技術を教えるリアル参加型のワークショップだ。

 

これは、地域コミュニティに対して彼女の感謝の気持ちを表すとともに、プラットフォームへの関心を高める機会となった。

 

地域の人々は美咲さんが自分たちの文化や知識に対してリスペクトをもって広めようとしていることを理解し、支持するように。ワークショップを通じて、自分たちの知識やスキルが外の世界で価値を持つことを実感し、美咲のビジョンに共感しはじめたのだ。このイベントがきっかけで次第にメディアからの取材も入るようになった。

 

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