青色申告初心者が会計処理を行う場合、しばしばつまずきがちとなるポイントがあります。今回は、自宅兼事務所の家賃等について、個人の口座から払う場合と、事業用口座から払う場合の会計処理について見ていきましょう。※本記事は小林敬幸氏の著書『改訂2版 3日でマスター! 個人事業主・フリーランスのための会計ソフトでらくらく青色申告』(あさ出版)より抜粋・再編集したものです。
自宅兼用事務所の家賃や保険料を「個人の口座」から払っている場合
◆個人の口座から払ったときは「事業主借」で計上
自宅兼用事務所の家賃や光熱費が、「開業前から個人の口座での引き落としにしていた」などの理由で、そのまま個人の口座からの引き落としになっていることはよくあります。
この場合、事業に使っている分は「事業主個人が立て替えた(事業に貸した)」と考えるので、「事業主借」勘定で処理しましょう。
ここでは仕訳日記帳を使い、下記の図表1のように入力してください。もちろんこの場合、支払った全額が経費になるわけではなく、事業供用割合をかけたものが計上すべき金額となります。
なおこの処理は、自宅と仕事で兼用にしている自家用車のガソリン代、保険料、自動車税、駐車場代、住宅ローンなどについても同様です。
◆自宅兼用事務所にかかるお金を個人口座で支払っているとき
★自宅兼用事務所の家賃と電気代を個人の口座から支払った場合
家賃10万円、電気代1万円で事業供用割合が30%の場合、事業用の経費は家賃が10万円×30%=3万円、電気代が1万円×30%=3,000円となりますので、次のように入力します(図表1)。
税理士(近畿税理士会芦屋支部所属)・ファイナンシャルプランナー
1975年生まれ。兵庫県神戸市出身。
大阪大学文学部史学科卒業。大学卒業後、ユニチカ株式会社の経理出納部門、太陽誘電株式会社の債権管理回収部門、SRIスポーツ株式会社(現・住友ゴム工業株式会社)の税務部門、個人会計事務所での税理士業務を経て、2008年9月神戸市内に税理士事務所を設立。
現在は税理士・ファイナンシャルプランナーとして、個人事業者の開業支援や小規模法人設立、会計ソフトの指導をメイン業務に、兵庫県(おもに神戸市)や大阪府などを中心に活動している。
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連載【青色申告初心者向け】個人事業主・フリーランスのための会計ソフト入門…「売上・経費」のギモン解決