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地域通貨事業のモデル事例――高松市の「めぐりんマイル」

前回は、主導する組織によって異なる「地域通貨」の導入・運用例について取り上げました。今回は、地域通貨事業のモデル事例として、香川県高松市の「めぐりんマイル」について見ていきます。

地域をつなぐ地域コミュニティポイント

事例①【香川県高松市(めぐりんマイル)】

通貨プロフィール:めぐりんマイルは、香川県高松市を中心とした地域共通ポイントサービスです。ICカードを利用した地域通貨・地域コミュニティポイントとしてはポイントの獲得できるシーンの多様性など、2010年のサービス開始以来、常に先駆的な取り組みにチャレンジしています。各地からの視察も多く、地域通貨事業のモデル事例と言えます。

 

2010年に40店舗で始まっためぐりんマイルは、6年間で550店舗(2016年7月現在)になりましたが、その歴史はまさに試行錯誤の歴史でした。めぐりんという地域通貨の事例は、日本で最も先駆的な取り組みだと思いますし、現場でのさまざまな苦労を経験とそのノウハウは貴重だと思います。

 

長年継続利用して頂いている加盟店も多いのですが、途中解約された加盟店も少なくありませんでした。解約の理由はいくつかあります。本業自体が伸び悩んだり廃業されたりするケースもありますが、めぐりんサービスのメリットを感じないという、根本的な理由から解約されるケースもありました。めぐりん事務局のメンバーの方々は、この根本的な問題に今日も取り組んでいます。同じサービスでもメリットを感じて頂ける店もありますし、そうでもない店もあります。

 

自分たちのサービスを「絶対メリットがある」と思い込んで始めても、その仮説が脆くも崩れ去るケースもあります。というか、その場合の方が多いのが現実なのでしょう。「お客様ニーズに応える」というのは、本当に難しいと思います。

 

めぐりんマイルの普及は、順風満帆ではなく踊り場もありましたが、着実にそのサービスを充実させ続けています。めぐりんの目指す姿は、「地域をつなぐ地域コミュニティポイント」であり、その意味ではまさに下記の煙突の図の煙突を増やし続けています。

 

[図表]地域の「煙突モデル」

出所:著者作成
出所:著者作成

多種多様な加盟店での利用で地域活性化に貢献

めぐりんマイルの使い方は、地元の店舗や公共施設で1マイル1円として利用できますし、地元の複数のNPOに寄付できます。地域通貨は優先順位としては使い方よりも、貯め方の多様性が重要です。めぐりんマイルの豊富な貯め方を見てみましょう。貯め方の多様性というのは、図表の煙突の図の煙突の種類が多いということを意味します。

 

★店舗で貯める

 

貯めるための基本は、地元店舗での買い物や飲食です。100円で1マイル(ポイント)が基本ですが、2倍、3倍、5倍のマイルをつけるお店もありますし、来店利用で50マイル、100マイルがつくお店もあります。500マイルもつくレンタカー屋さんもありますし、健康相談で120マイルつくお店もあります。

 

店舗や施設の種類は、飲食店、雑貨、ベーカリー、理美容、化粧品、薬局、鍼灸マッサージ、仏具、ふとん、フラワー、クリーニングなどの他に、ホテルやスーパー銭湯、ガソリンスタンド、自動車修理、レンタカー、ホームリフォーム、駐車場、保険販売、習い事教室、テーマパークなど、まさに多種多様です。

 

めぐりん事務局によると、めぐりんマイルで払えないのは、携帯電話代とお子さんの学費くらいで、頑張れば「めぐりんマイル加盟店の利用だけで1カ月くらいは生活できる」とのことです。多種多様な加盟店があるからできることです。

 

★スポーツ応援で貯める

 

香川県の三つの地域スポーツ、バスケットボールの「ファイブアローズ」、野球の「オリーブガイナーズ」、サッカーのJリーグ「カマタマーレ讃岐」の応援で、めぐりんマイルが貯まります。応援に行ったり、グッズを購入したりすることで貯まります。各々のチームは、独自のポイント制度を持っていたり、導入検討をしたりしていましたが、「どのスポーツでを応援してくれても地域を応援することになる」として、めぐりんマイルという地域共通ポイントを採用しました。地域密着思考をベースにして、利用者視点での判断でした。

 

サッカースタジアムでお会いした方が、「男の子はサッカーで、女の子はバスケットを応援に行くけど、どちらでもめぐりんが貯まるから便利。別々だと不便で貯まりにくい。この前、めぐりんマイルが結構貯まったので、家族でスーパー銭湯に行きました」と伺い、まさに地域通貨の大切な役割が実現できていることを目の当たりにして大変嬉しく思いました。

フェリカポケットマーケティング 代表取締役社長

1984年、大手IT企業入社。8年間の欧州駐在を経て2001年ICカードフェリカ事業の国内・海外営業の責任者に。交通や電子マネー、社員証など事業は軌道に乗っていたものの「交通や電子マネーではなく、衰退しつつある地域経済のために活かすことはできないか」と考えるように。地域活性のためには、大企業だけでなく、中小企業や個人店舗もICカードの利便性を享受できるような仕組みが必要とし、2008年1月フェリカポケットマーケティング株式会社を設立、社長に就任。現在でも全国各地を飛び回り、地元の方々との直接のコミュニケーションを第一として、現場主義を貫きながら「地域を元気にする」仕組み作りに奔走している。

著者紹介

連載地域内でお金が回る仕組み「地域通貨」の活用法

本連載は、2016年9月9日刊行の書籍『地域通貨で実現する 地方創生』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

地域通貨で実現する 地方創生

地域通貨で実現する 地方創生

納村 哲二

幻冬舎メディアコンサルティング

本書は、地域活性化に興味のある人や自治体・企業・団体に向けて、地域活性化のための1つの有効な手段と思われる「地域通貨」を軸にした、事例紹介を含めた参考書・指南書です。 地域活性化は都市・地方の双方にとって喫緊の課…

 

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