前回に引き続き、地域通貨事業のモデル事例として、香川県高松市の「めぐりんマイル」について見ていきます。

清掃活動、高齢者世帯応援企画…貯め方は多種多様

前回の続きです。

 

★清掃活動をして貯める

 

高松兵庫町商店街では、毎月第一日曜日の朝に商店街に隣接する大通りの清掃活動を行っています。以前は、清掃活動に参加するとジュースなどを配っていましたが、現在はめぐりんマイルが付与されるようになりました。

 

一回の参加で300マイル貯まりますので、帰りに喫茶店でコーヒーを飲む人や書店で新聞を購入するなどさまざまに利用されていて大変好評です。

 

★大阪や神戸に行って貯める

 

地産地消を基本としますが、香川から大阪や神戸に旅行してもめぐりんマイルが貯まります。なぜでしょうか? タネあかしは、香川と大阪や神戸間を運航する高速バスを利用するとめぐりんマイルが10倍貯まるサービスがあります。

 

★高齢者世帯応援企画で貯める

 

年々増加している介護保険料と高齢者の介護については、深刻な問題になっています。特に、高齢者の介護はある日突然やってきます。

 

そんな時にどう対応すればよいか分からずに困惑される方々も多いことを知り、めぐりん事務局と(一社)日本介護情報配信機構が連携して、介護無料相談会を定期的に実施しています。介護認定の相談から施設の紹介、用具のレンタルなど、専門のスタッフが介護に関する情報をワンストップで提供しています。無料相談の際に、アンケートに回答すると100マイルが付与されます。

自分の健康増進活動が「地域の人のため」になる仕組み

★健康増進活動で貯まる

 

2012年に商店街イベントで健康ウオーキングを実施しました。参加者に歩数計を貸与して、歩数に応じてめぐりんマイルを付与するものです。期間は3カ月で、毎日1万歩を限度として歩数に応じてめぐりんマイルが貯まりました。200歩あたり1マイルですので、200歩ごとに1円(1マイル)貯まることになります。この取り組みは、その後の全国の歩数計やITを利用した健康ウオーキングポイントの参考事例になりました。

 

また、歯科検診の受診でもめぐりんマイルが貯まり、体育館や武道館の利用でも貯まりますので、ウオーキング以外の健康増進活動でも貯まることになりました。貯まっためぐりんマイルは、地元のお店で利用できますし、地元のNPOなどに寄付もできます。「自分の健康のために歩いて健康になることが、地域のため人のためになる」ということになり、これも地域通貨の大切な役割の一つです。

 

誰かのために何かをするというのは、なかなか時間もないですし、少し照れもあって実際の活動に踏み出すことにはハードルがありますが、このような普段の生活動線の中で無理なくできることを通じて地域貢献できることが地域通貨の大変重要な役割だと思います。イベントなども重要ですが、事業の継続のためには、日常の生活のなかで、無理なく継続できるように地域通貨のサービスを設計することが重要な鍵になります。

 

「図表」めぐりんを活用した健康イベントの告知ポスター

本連載は、2016年9月9日刊行の書籍『地域通貨で実現する 地方創生』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

地域通貨で実現する 地方創生

地域通貨で実現する 地方創生

納村 哲二

幻冬舎メディアコンサルティング

本書は、地域活性化に興味のある人や自治体・企業・団体に向けて、地域活性化のための1つの有効な手段と思われる「地域通貨」を軸にした、事例紹介を含めた参考書・指南書です。 地域活性化は都市・地方の双方にとって喫緊の…

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