人生100年時代「老後はいくら足りないのか?」
老後不安が高まる昨今。「いつまでに何円を貯めなければならないのか?」、具体的なイメージはなかなかできないものです。
“リタイア後に必要なお金の基本は、年金額から生活費を差し引いた差額で考えます。しかし、そこで出てくるのが、「何歳まで生きるか分からない。結局、何年分のお金を用意すればいいの?」という不安です。
「人生100年」とも言われている現代、100歳まで生きることを想定して考えれば、ひとまずは安心です。つまり、65歳から年金生活を送るとして、100歳までは35年間ありますから、(年金の月額マイナス1カ月当たりの生活費)×12カ月×35年で計算してみるのです。非常に大まかではありますが、この金額が分かるだけでもずいぶん違ってきます。”金融広報中央委員会『そこが知りたい!くらしの金融知識』
実際のところ、現在の高齢者はどのような資金繰りで暮らしているのか? 総務省統計局『家計調査年報』(令和4年)より高齢単身無職世帯のお金事情を見てみると、実収入は「13万4,915円」、可処分所得は「12万2,559円」となっています。そのうち社会保障給付が占める割合は90.1%です。
支出について見てみると、消費支出が「14万3,139円」、税金や社会保険料などの非消費支出が「1万2,356円」。あわせて支出額「15万5,495円」となっており、「2万580円」も不足していることが明らかになっています。
【高齢単身無職世帯の家計収支】
実収入 13万4,915円
社会保障給付 12万1,496円
その他(仕送り等) 1万3,419円
消費支出 13万3,139円
食料 3万7,502円
光熱・水道 1万4,743円
交通・通信 1万4,600円
ほか
非消費支出 1万2,356円
ざっくりとした老後の赤字額を考えるため、先ほどの『(年金の月額マイナス1カ月当たりの生活費)×12カ月×35年』より、上記の収支を用いて計算してみれば、
(12万1,496円※ ― 15万5,495円)×12カ月×35年= △14,279,580円
※便宜上、社会保障給付額を年金に相当するものと考えています。
と、赤字分を補うためだけでも1,000万円以上の余剰資金が必要であることが見て取れます。ゆとりのある生活を送りたい場合、さらにお金を貯める必要があるわけですから、確かに「この金額が分かるだけでもずいぶん違って」きたな…と感じるところです。