写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、2023年のフィリピンの経済成長の要因と証券市場の見通しから、2024年の投資戦略についてみていきます。

2023年第4四半期「フィリピン主要経済指標」推移

第4四半期の消費を牽引したのは、レストランとホテル(+16.2%)、交通(+12.2%)、および娯楽(+7.3%)でした。一方で、衣類などに対する支出は1.4%減少しました。雇用市場の改善と海外からの送金の持続的な成長があるものの、食品価格が高いため、食品に対する支出が低いのは懸念材料です。ただし、最近の数ヵ月でインフレは緩和傾向です。政府は、農業のサプライチェーンを強化し、生産をサポートすることで、徹底的にインフレを管理するとしています。

 

設備投資は、10月から12月の期間に11.2%増加し、前年同期の3.3%よりも高く、第3四半期の1.4%の減少からの転換です。2023年年間では、総資本形成は+13.8%の前年同期よりも低い+5.4%となりました。

 

物品とサービスの輸出は第4四半期に2.6%縮小し、前四半期の2.6%の拡大および前年同期の14.6%の成長から反転しました。これにより、2023年全体の成長率は1000年の+10.9%から+1.3%に減少しました。弱い世界経済が輸出に大きな影響を与えました。商品の輸出が大幅に減少しましたが、サービスの輸出は+12.3%成長しました。

 

一方で、第4四半期の輸入は2.9%増加し、前四半期の1.1%の減少からの転換でした。2023年全体では輸入は+13.9%の前年同期よりも低い+1.6%でした。国のGDPと海外からの収入の合計である国民総所得(GNI)は第4四半期に11.1%増加しました。2023年全体では、GNIは+9.9%の前年同期よりも高い+10.5%の成長を見せました。

 

生産面では、すべてのセクターが成長を達成しました。サービスは第4四半期に7.4%拡大し、2022年の9.8%からは減速となりました。サービスの成長率は2023年年間では+7.2%で、2022年の+9.2%からは減速となりました。第4四半期の工業は3.2%増加し、前年同期の+4.6%からは減速し、2023年全体では+6.5%の前年同期よりも低い+3.6%となりました。

 

農業、林業、漁業の成長率は第4四半期に1.4%増加し、前年同期の0.3%の縮小からの転換となりました。2023年全体では、+0.5%の前年同期よりも良い+1.2%の成長を見せました。政府は、2023年の政府のGDP成長目標に達しなかったものの、2024年のGDP成長目標6.5~7.5%は達成できるとしています。

2024年「フィリピン総合指数」予測

フィリピンの証券会社COL Financial Groupは、強力な経済成長の予測に基づき、2024年の同国の主要指数(PSEI)について7,100水準をベースの予測として設定しました。ただし、市場がリスクの影響を受ける場合、フィリピン株式取引所指数(PSEi)は5,800まで下落し、4,300まで低下する可能性があるとも指摘しています。

 

基本シナリオでは、目標は7,100です。今年のEPS成長率を+10%と予測しているので、おそらく7,100になるというのが根拠です。

 

フィリピン株は、今年は基本的にブルマーケットと見ています。同社によれば、PSEiは10年間の歴史的な株価収益率(PER)の16.2倍に戻ると、9,400まで上昇する可能性があり、逆に9倍のPERと年間EPSが10%減少する場合、4,300まで低下する可能性もあるとしてます。

 

2024年のPSEiの成長要因として、低インフレと低金利、政府支出の増加、および国の経済の強さの持続性が挙げられています。また、リスク要因としては、インフレおよび金利の上昇、地政学的な緊張のエスカレーション、政府予算に対する否定的な動き、米国経済のリセッション・ハードランディングを挙げています。

 

同社は、投資家には、ディフェンシブ株に焦点を当て、経済の低迷に対して強靭で、現金配当を通じて収益を得られる株をに注力することを勧めています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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