(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人が頭を悩ませる「親の介護」問題。過去内閣府が行った調査(高齢社会白書:平成30年)では、73.5%が自宅での介護を望む一方、介護する側の負担も大きいことから、近年「老人ホーム」など介護施設を利用する人も増えています。しかし、介護施設も「入所さえできれば安心」とは限りません。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが、事例をもとに高齢者施設を選ぶ際のポイントを解説します。

Aさん思わず絶句…入居からわずか半年で「退去願い」

入居から約半年後、施設から「お伝えしたいことがあるのですが」と呼び出しを受けました。心当たりのないAさんが不安を抱えながら赴くと、施設長は次のように言います。

 

お母さまの介護度が下がったので、退去してほしいのですが」。

 

聞けば、要介護3だった母親は施設で生活をしているなかでADLが向上し、要介護2になったそうです。

※ ADL……“activities of daily living”の略称で、日常生活活動、日常生活動作のこと。日本リハビリテーション医学会の定義では、「一人の人間が独立して生活するために行う基本的な、しかも各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体動作群」とされる(日本大百科全書より)。

 

母の状態がよくなったのは喜ばしいことですが、「またあの辛い日々に逆戻りするのか」と思うと、不安と絶望感でいっぱいに。Aさんは思わず絶句してしまいました。

特養へ入居中に「要介護2」となった場合の対応は?

今回の事例では、84歳のお母さまが骨折してしまい、入院中に要介護認定を受けました。入院直後に要介護認定を受けると状態が悪く介護度が高くなりやすいため、退院後に再び要介護認定を受けると介護度が下がることがあります。

 

また、特養は要介護3以上でなければ入居できませんが、入居後に介護度が下がった場合には、今回のように退所を迫られることがあります。

 

急に退所を迫られても、すぐに次の入所先が見つかるわけではありませんし、生活場所やスタイルが変わればお母さまご本人にもAさんにも心身ともに大きな負担がかかります。

 

したがって、今回のように特養へ入居中に介護度が下がった場合、下記の5つの対策をとることが考えられます。それぞれ詳しくみていきましょう。

 

1.不服申し立て

2.区分変更申請

3.要介護1・2の特例入所の確認

4.在宅介護の検討

5.入所施設の検討

 

1.不服申し立て

「不服申し立て」とは介護保険審査会に対して行うもので、介護認定を取り消して再審査をしてもらう手続きのことをいいます。今回の事例では特養に入居後に介護度が下がってしまったお母さまですが、再審査によって介護度が3以上になる可能性はあります。

 

申請に必要な書類は、審査請求書、添付書類、委任状などです。

 

ただし、要介護認定を正確にしてもらうためには、調査員との面談時に「介護の状況や困っていることについて具体的に伝える」「面会時には見られていない症状も伝える」ことが大切です。

 

毎日の介護は介護者からすると『日常』となっているため、調査員に対して情報提供が不足することがあり、日々行っている介護の内容が過少に伝わることで介護度が低くなることがあります。「普段、どのような介護をしているのか」をなるべく客観的に具体的に伝えるようにしましょう。

 

2.区分変更申請

「区分変更申請」とは、現在の要介護認定が現状に見合っていないと感じたときに、要介護認定の再調査をしてもらう手続きのことをいいます。申請に必要な書類は、役所の窓口やインターネットで取得することが可能です。

 

不服申し立てでは手続きに時間がかかるため、代わりにこちらの区分変更申請を行うこともあります。

 

不服申し立てと同様、認定調査の面談時には、調査員に介護の現状や大変さしっかりと伝えることが重要です。

 

 

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