約半数の高齢者が「年金だけ」で暮らしている現実
日本の年金制度は厚生年金と国民年金の2階建てですから、この金額にプラス数万円の基礎年金を受給している状況が見て取れますが、それにしても月の収入としては厳しいもの。貯金を切り崩して生活せざるを得ないといえましょう。
しかし日本人、貯蓄ができるほどの資金的余裕はあるのでしょうか。
厚生労働省『2022年 国民生活基礎調査の概況』によると、世帯主の年齢階級別に1世帯当たり平均所得金額は「50~59歳」が742万1,000円で最も高く、「40~49歳」が728万5,000円、「30~39歳」627万2,000円と続きます。最も低いのは「29歳以下」の377万5,000円。
上記はあくまで世帯主別の金額。1人あたりの所得金額ではまた違った様相がみえていきます。
先ほどの国税庁の発表によると、20代前半の1人あたりの平均年収は273万円、20代後半で389万円です。都内暮らしの場合、家賃やら何やら日々の出費でカツカツ……となってもおかしくない金額です。貯蓄なんてとても考えられる状況ではありません。
厚生労働省の調査より世帯人員1人当たりの平均所得金額をみると、最も高いのは「50~59歳」で291万9,000円、「60~69歳」が259万7,000円、「40~49歳」が239万5,000円と続きます。最も低いのは「70歳以上」の194万6,000円です。
70歳以上の所得の大部分は公的年金。公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のなかで「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は24.9%となっており、多くの高齢者世帯が、年金以外の収入がない状態で生活していることが見て取れます。今ですら、月十数万円の年金だけを頼りに生活している高齢者が4分の1を占めているのです。
■貯蓄ができないのなら「生涯現役」しかない?
人生100年時代となった今、60歳をもはや定年とは捉えず、「生涯現役」でいることを国が推し進めています。高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの定年引上げや継続雇用制度の導入などが始まりました。就業期間の延長にともない、年金受給開始時期について、上限も75歳に引き上げられています(令和4年4月から適用)。
年金は諦めるほかないのでしょうか。厚生労相のホームページには次のような言葉が記されていました。