(※写真はイメージです/PIXTA)

外国人投資家は日本株の約3割の株式を保有し、東証の売買代金の6〜7割を占めています。日本株式市場の動向は外国人投資家次第であるといっても過言ではありません。本記事では、みずほ証券チーフ株式ストラテジストの菊地正俊氏が、著書『低PBR株の逆襲』(日本実業出版社)から、外国人投資家を通して見えてきた「日本株の中長期的な見通し」について解説します。

日本株に強気の外国人投資家が増加

2023年9月初めにみずほ証券は、外国人投資家向けの日本株投資セミナー「Japan Alpha Conference(JAC)」を開催しました。同じ時期にBofA証券も同様のセミナーを開催したため、アジアの投資家を中心に多くの外国人投資家が来日しました。日本株のべテラン投資家から、投資経験の少ないフレッシュな投資家もいました。

 

私は外国人投資家と一緒に東証、金融庁、経産省を訪問する政府ツアーも行ない、低PBR対策、大量保有報告制度の見直し、新たなM&Aの指針などを議論しました。

 

日本株のポジションを保有している利害関係者が多いこともあり、ミーティングした外国人投資家はおおむね日本株に強気でした。

 

①マイルドなインフレと賃上げの好循環が起きて、企業の値上げ環境が整い、名目GDP成長率が高まること、②東証の要請の結果、日本企業に資本コストを意識した経営が浸透し、ROEがトレンドとして上昇すること、③予想PERが15倍程度と低いので、バリュエーション上のダウンサイド・リスクが低いことなどが強気の理由でした。

外国人投資家の日本株投資における関心事・期待

外国人投資家の個別の質問事項には、以下のようなものがありました。

 

・個人消費を中心とした内需回復はどのようにして軌道に乗るのか?

 

・日銀の金融政策の行方と為替見通し、将来的なETFの処分法・長期金利が大きく上昇した場合、巨額の財政赤字は持続可能か?

 

・中国経済減速の日本の企業業績への影響や日中関係悪化とインバウンド関連株の行方

 

・日本企業はなぜ余剰金融資産や持合株を保有しているのか?

 

・2024年のNISA拡大で、個人投資家はどれほど日本株投資を増やすか?

 

・個人投資家に好まれる銘柄は何か?

 

・日本のバリュー相場はいつまで続くか?

 

・急落したマザーズ(現グロース市場)の銘柄は買い場か?

 

・東証は企業の資本コストを意識した経営の対応状況をどのようにチェックするのか?・東証は要請ではなく、義務にすべきではないか?

 

・銀行のPBR目標は達成可能なのか?・日系運用会社は、企業のPBR1倍達成を手助けするため、議決権行使のROE基準を引き上げるべきではないのか?

 

・大量保有報告制度の見直しで、協働エンゲージメントはやりやすくなるのか?

 

・日本で遅れてきた業界再編は起きるのか?

 

なお、ベテランの外国人投資家は日本企業が緩やかにしか変わらないことを理解していますが、日本株投資を始めたばかりの外国人投資家には、日本企業がスピーディーに変わることを期待している人もいました。

 

 

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