(※写真はイメージです/PIXTA)

外国人投資家は日本株の約3割の株式を保有し、東証の売買代金の6〜7割を占めています。日本株式市場の動向は外国人投資家次第であるといっても過言ではありません。本記事では、みずほ証券チーフ株式ストラテジストの菊地正俊氏が、著書『低PBR株の逆襲』(日本実業出版社)から、外国人投資家を通して見えてきた「日本株の中長期的な見通し」について解説します。

日経平均が史上最高値を更新するのは「2025年頃」か?

JACに参加するために来日した外国人投資家は、中長期の見通しに関心が高いようだったため、2026年度までの長期の企業業績と株価指数の見通しをつくりました。

 

日本企業はデフレ下でもコスト削減や海外展開の強化等によって増益基調を維持してきましたが、マイルドなインフレが定着することで、名目GDP成長率が高まり、利益を出しやすい環境になると期待されます。値上げ→利益増→賃上げ→消費増の好循環が起きることが望まれます。

 

プライム企業の純利益の2022年度までの20年間の年平均伸び率は約10%だった一方、15年平均であれば約5%でした。それを前提に、プライム企業の純利益変化率予想は2023年度+8.2%の後、2024年度は米国経済の減速(ただし、ソフトランディング)を前提に+5.0%、世界経済が再び加速すると予想される2025年度は+7%、2026年度は+8%とします。

 

適用PERについては、過去15年平均の15倍に対して、資本コストを意識した経営が定着すれば、17倍もあり得るでしょうが、平均16倍を使いました。

 

東証の2023年7月14日時点の集計では、低PBR対策要請にすでに応えたプライム企業は全体の20%にとどまったので、資本コストを意識した経営がどれほど定着するかを見極める必要があると考えました。ただ、最近の良い話としては、みずほ証券エクイティ調査部が持合解消に消極的だと指摘してきたトヨタグループで、持合解消が進みそうなことです。トヨタ自動車は2023年11月1日の中間決算発表で、政策株の縮減、グループ持ち合いの見直しを打ち出しました。

 

プライム企業の平均ROEは増益基調の維持と、いままでよりは自己資本の伸び率が抑制されることを前提に、2023年度予想の9.0%から2026年度に10%超に上昇すると予想します。

 

そうしたデータをもとに見通しをつくったところ、2026年度ベースのフェアバリューはTOPIXが2835ポイント、14倍のNTレシオ(日経平均÷TOPIX)を適用すると、日経平均は3万9687円になります。株価指数が1年先の企業業績を織り込むとすると、TOPIXの1989年12月18日の史上最高値2885ポイント、日経平均の1989年12月末の史上最高値の3万8916円の更新時期は、ともに2025年3月末〜2026年3月末頃という見通しになります。

 

もっとも、配当込みのTOPIXはすでに史上最高値を更新したうえ、TOPIXも2023年9月に史上最高値まであと16%に迫ったので、日経平均の史上最高値更新は時間の問題との見方があります。

 

[図表]PERとNTレシオ別のTOPIXと日経平均のフェアバリュー

 

 

菊地正俊
みずほ証券エクイティ調査部チーフ株式ストラテジスト

 

※本記事は『低PBR株の逆襲』(日本実業出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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