(※写真はイメージです/PIXTA)

東証上場企業の約半分がPBR(株価純資産倍率)1倍割れという状況を是正するため、2023年3月末に東証はPBRの低迷する上場企業に対して経営改革の要請を行ないました。本記事では、みずほ証券チーフ株式ストラテジストの菊地正俊氏が、著書『低PBR株の逆襲』(日本実業出版社)から、東証の要請に対する外国人投資家からの評価・期待について解説します。

2023年4月以降、外国人投資家の日本株買越額が急増

外国人投資家は日本株の約3割の株式を保有し、東証の売買代金の6〜7割を占め、日本株式市場は外国人投資家次第という状況に変わりありません。

 

2021年10月に岸田内閣が発足した後、外国人投資家は日本株を売り越し基調でしたが、東証が2023年3月末に資本コストと株価を意識した経営の要請を出した後、4〜6月の外国人投資家の買越額は7.4兆円(現物+先物)にも達しました。

 

[図表1]岸田政権下での外国人投資家の日本株買越額

 

東証の施策だけでなく、4月に就任した植田和男日銀総裁がハト派的なトーンを打ち出し、円安になって業績上方修正期待が高まったことや、ウォーレン・バフェット氏が日本の5大商社株を買い増したことも、外国人投資家による日本株の大幅な買い越しにつながりました。

 

中国経済の回復が芳しくないため、アジア株ポートフォリオのなかで、中国株を減らして、日本株を増やした外国人投資家もいました。

米国投資家の影響力は大きいが熱狂度はアベノミクス初期に及ばず

外国人投資家の日本株買越額が急増したとはいえ、米国の外国株に投資する主要なミューチュアルファンドは3月末〜6月末に日本株比重をほとんど増やしていなかったので、4〜6月に日本株を買ったのは、マクロヘッジファンドやアジア・中東の投資家ではないかとの見方がありました。

 

東証は月次で外国人投資家の地域別の売買状況の統計を発表していますが、欧州投資家の売買シェアが8割近くに達する一方、米国投資家が同1割未満になるなど、証券会社の肌感覚とは異なるデータになっています。

 

アジアの投資家の勢いが増しているのは事実ですが、みずほ証券エクイティ調査部は米国投資家の影響力が最も大きいとの印象を抱いています。ただ、米国投資家は2013年にアベノミクスが始まった初期に比べれば、今回日本株への熱狂度が低いようにも感じられました。

 

米国投資家はアップルなど時価総額が数百兆円もある株式を売買しているため、ほとんどの日本株は、運用資産が大きい米国投資家にとっては小型株にしか見えないという問題が関係しているかもしれません。

 

私は2023年2月に中東・欧州、10月に香港・シンガポールの投資家を訪問しましたが、米国のセールスから要請がないため、コロナ禍以降、米国投資家を訪問していません。

日本株の割安さを指摘する声と「NISA拡大」への期待

2023年8月9日の日経新聞のインタビュー記事で、スイスに本拠があるクアエロキャピタルのローワン・チャップリン氏は、「日経平均が33年ぶりの高値に上昇した理由として、東証が上場企業にPBRの引き上げを働きかけた影響が大きい、日本株にはPBRが割安な銘柄が多い」として、東証の施策を評価しました。

 

ロンドンのウェイバートンのステファン・ラインヴァルト氏は、私もロンドンに出張するといつもお会いする投資家ですが、日本株上昇の条件として、「日本企業が資本効率に取り組む姿勢を示し続けることだ。日本の個人や機関投資家が日本株の魅力に目覚めて投資を拡大すれば、上値を期待できる」と述べました。外国人投資家は2024年からのNISA拡大で、個人投資家の日本株投資が増えると期待しています。

 

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