円安はいつまで続くのか……なかなか難しい予想ですが、「円安のなか、海外不動産投資はやめておけ」という文句をよく耳にすることがあります。一方で「円安のときこそ、海外不動産投資を始めるべき」という声も。どちらの意見を聞くべきか、悩むところです。海外不動産投資におけるリスクを今一度、考えてみましょう。

「円で賃金を得て資産を増やすこと」が難しい

1995年を100とした場合の2022年の賃金水準をみていくと、OECD加盟国においては、どの国も軒並み「100超え」を記録。G7、先進七ヵ国のみをみてみても、「米国」249%を筆頭に、高い伸び率を示しています。そのようななか、「日本」は98%。1995年比較で、唯一、賃金の減っている国、それが「日本」なのです。


 

【先進七ヵ国「賃金上昇率」】

1位「米国」249.41% (14位)

2位「イギリス」230.73%(18位)

3位「カナダ」217.01%(20位)

4位「フランス」180.00%(27位)

5位「イタリア」176.86%(29位)

6位「ドイツ」174.88%(30位)

7位「日本」98.70%(33位)

 

先進7ヵ国の賃金上昇率 ※1995年を100とした際の数値。(かっこ)内はOECD加盟33ヵ国中の順位 出所:OECD 資料:GLOBAL NOTE
先進7ヵ国の賃金上昇率
※1995年を100とした際の数値。(かっこ)内はOECD加盟33ヵ国中の順位
出所:OECD 資料:GLOBAL NOTE

 

このように「円で賃金を得て資産を増やしていくこと」がいかに困難な状況下にあるかがわかります。いまや、日本ではなく海外に目を向けなければ資産を守れない時代だといえるでしょう。

 

海外不動産投資は、海外を活用した資産運用のなかでも、常に注目度の高い運用法のひとつです。注目される理由のひとつに、比較的値動きの予想が付きやすいという点があげられます。もちろん、どのような物件を購入するかにもよりますが、レジデンスであれば基本的に人口増減の影響を受けやすく、その予測は比較的容易とされています。

 

たとえば、前述のカンボジア。現在1,600万人。総人口は2060年代くらいまで増え続け、その数は2,200万人に達するといわれています。人口増に比例して経済も成長。人口増加が確実視される都市部、好立地とされる物件であれば安定的な賃貸需要が見込まれる、というわけです。一方、日本をはじめとした先進諸国では、移民を積極的に受け入れている一部の国を除き、人口減が予測されています。人口減とともに国力も低下。不動産運用も難しくなる、という予測が立てられます。

 

ただし、不動産バブルが弾けたといわれる中国の例もありますし、一概に人口増が見込まれる国であればどこでも有望というわけではありません。カントリーリスクは見逃せませんし、為替リスクも付きまといます。業者選びに失敗するとその時点で負けが確定、というケースも珍しくないでしょう。

 

資産形成、資産運用においては、あらゆる面でリスクを内包しています。「行動しない」ということも、またリスクです。しっかりとリスクの内容を知り、自身がそのリスクを許容できるかどうかを見極めることが重要です。

 

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