給与が減っても〈節税額〉は増えるケースも!60歳で“定年後再雇用”になった人こそ〈イデコ〉を活用したほうがいい「これだけの理由」【日経新聞記者が解説】

給与が減っても〈節税額〉は増えるケースも!60歳で“定年後再雇用”になった人こそ〈イデコ〉を活用したほうがいい「これだけの理由」【日経新聞記者が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年の制度改正により、イデコの加入期間が大きく変わりました。しかし、その制度の仕組みについては、「もっと幅広く広報されるべき」と、証券アナリスト(CMA)資格も持つ日本経済新聞編集委員である田村正之氏も言うように、やや複雑な仕様となっているのが現状です。田村氏の著書『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』より、イデコを十分に活用するために押さえておきたいポイントを詳しく見ていきましょう。

60歳から考えたいイデコ「増強策

イデコの加入可能年齢が延びたことは、60歳で定年後再雇用になった人のイデコ活用をかなり後押しするとみられます。どういうことでしょうか。

 

掛け金の上限月額は、公的年金の種類や勤務先の制度などで変わります。企業年金に加入し、勤務先が企業型DCだけなら2万円。将来の給付額が決まっているDBがある会社員や公務員は1万2,000円などでしたね。

 

イデコの掛け金は全額が所得・住民税の対象からはずれ、節税になります。節税額は「掛け金×税率(所得・住民税率の合計)」です。

 

まずDBだけの会社員や公務員を考えます。60歳未満での上限額月1万2,000円を1年間拠出すると計14万4,000円。合計税率が30%なら年4万3,200円の節税でした。定年後再雇用で働く場合の多くは、60歳で企業年金の加入が終わります。すると「企業年金のない会社員」に立場が変わり、厚生年金加入で働き続けるなら上限額は月一律2万3,000円に拡大します。

 

一方で、定年後再雇用になると所得が下がることが多いので、税率が20%に下がったとします。掛け金が同じなら節税効果は2万8,800円に減りますが、掛け金を月2万3,000円(年27万6,000円)にすれば、節税額は年5万5,200円と逆に増えることになります。

 

出所:『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日経BP)より抜粋
[図表4]イデコの掛け金増額で節税額が変わる例 出所:『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日経BP)より抜粋

 

出所:『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日経BP)より抜粋
[図表5]会社員のイデコ掛け金上限(月額) 出所:『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日経BP)より抜粋

 

企業型DCのある会社員はどうでしょうか。企業年金加入中は上限額が月2万円です。60歳以降に未加入になれば2万3,000円にできるので、やはり節税効果を高められます。

 

ただし60歳前からイデコに加入している場合、通常、金融機関から増額の案内などは来ません。加入している金融機関で自分で増額の手続きをしないと、せっかくの増額の権利を失ってしまいます。

 

60歳以降にフリーランスなどを選び、厚生年金に入らなければどうでしょうか。イデコは国民年金に上乗せする仕組みのため、加入するには国民年金に入ることが必要です。

 

国民年金は本来、60歳になるまでに40年加入します。現役時代に厚生年金に加入すれば国民年金(基礎年金)にも入りますが、学生時代など未加入の時期があるケースが多くみられます。その場合は60歳以降も原則40年に達するまで国民年金に任意加入でき、イデコに加入できます。上限は月6万8,000円に拡大します。掛け金増額の手続きをすれば、節税額を増やせます。

 

 

田村 正之

日本経済新聞社

編集委員

 

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※本連載は、田村正之氏による著書『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

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