設備の古さが目立ってくる2000年以前に建った物件
築年数が経った物件にはリフォームが必要です。しかし、「どの程度リフォームを行うべきか」、悩む不動産オーナーも多いでしょう。実際のところ、必要なリフォームのレベル感は、物件の状態によって変わります。すべての物件にリフォームが必要なわけではありません。
たとえば2000年以降のワンルームマンションは、今とあまり設備が変わらないので、大掛かりなリフォームは必要ないでしょう。
2000年以前の物件になると、やはり設備の古さが随所に出てきます。とくに水回りは毎日使われるので消耗が激しい場合が多く、リフォームの必要性が高いものです。3点ユニットバスがある場合は、最低限、トイレとお風呂を新設して、余裕があればキッチンまで取り替えてしまいましょう。ちなみに昨今の流行で言えば、ワンルームのリフォームは、バリ風やフランス風のデザインにするのが流行っています。
目安として、売却を前提にしたリフォームを、3つの段階に分けてご紹介します。予算は25㎡程度のワンルームを想定しています。あくまで参考価格で、実際には築年数や間取りによって変わることをご承知おきください。
リフォームで家賃が上がれば高額売却も可能に
■リフォームの3ステップ
A:原状回復/クリーニング・壁紙の貼り替え
B:設備の交換/風呂・トイレ・キッチンなど、水回りの入れ替え
C:リノベーション/フローリングの貼り替え・間取り変更
Aは、入居者が退去した後に、最低限行う原状回復のリフォームです。原状回復とは、元に戻すという意味で、部屋の価値を高めるようなリフォームではありません。主な交換箇所はクロス(壁紙)で、あとは徹底的にクリーニングを行います。予算は20万円程度かかります。
【図表1】原状回復/クリーニング・壁紙の貼り替え
Bは、経年劣化に応じて、水回りの設備を新しいものに交換するリフォームです。原状回復工事に加えて、風呂・トイレ・キッチン・洗面化粧台・換気扇といった水回りを交換します。予算は100万円程度を見込んでください。
【図表2】設備の交換/風呂・トイレ・キッチンなど、水回りの入れ替え
Cは、Aの原状回復、Bの設備交換に加えて、フローリングの貼り替えや古びた間取りを変更します。非常に大掛かりなリノベーションです。ここまでの工事になると、以前の部屋の面影もなくなります。A、Bと比べて予算も高く、150万〜200万円程度かかるでしょう。
【図表3】リノベーション/フローリングの貼り替え・間取り変更
ワンルームの場合は、Bまでのリフォームで十分でしょう。しかし、ファミリータイプの物件は、Cのリフォームを行うことで、大幅に売値が上がる可能性があります。
また築年数が古い物件ほど、好立地にある場合が多いです。たとえば主要駅から徒歩3分の築古物件と、徒歩7分の築浅物件があったとします。築年数だけを見れば築浅物件のほうが高い賃料になりますが、好立地の築古物件でも設備をきちんと整えれば、ほぼ同程度の賃料設定が可能になります。家賃が上がれば利回りがアップしますので、高額売却につながるわけです。