●2024年の日本株の注目ポイントは企業業績、企業改革、賃金で、いずれも改善傾向を見込む。
●これに加え、マクロ経済などが弊社見通しに沿ったものとなれば日本株の上昇余地はさらに拡大へ。
●日経平均の上昇トレンドは来年も継続、下値支持線と上値抵抗線の年末水準が一応の目安か。
2024年の日本株の注目ポイントは企業業績、企業改革、賃金で、いずれも改善傾向を見込む
2024年の日本株を見通す上で重要な3つのポイントは、「企業業績」、「企業改革」、「賃金」です(図表1)。まず、企業業績について、市場が予想する東証株価指数(TOPIX)構成企業の12ヵ月先1株あたり利益(EPS)は引き続き増加傾向にあり、現時点で株価の支援材料となっています。この先は、円相場や米中景気の動向に注意を要しますが、弊社は業績の回復基調が続く可能性は高いとみています。
次に、企業改革について、東京証券取引所(以下、東証)は2024年1月15日に、東証の要請に基づき資本効率改善などの取り組みを開示している企業の一覧表を公表します。一覧表は毎月更新されるため、企業改革の進展は月次で確認されることになります。そして、賃金について、弊社は2024年の平均賃上げ率を4.0%と予想しており、30年ぶりの高い伸びとなった今年の3.58%を上回ると考えています。
これに加え、マクロ経済などが弊社見通しに沿ったものとなれば日本株の上昇余地はさらに拡大へ
実際に、これら3つのポイントの改善傾向が確認され、また、国内外のマクロ経済や円相場が弊社の見通しに沿った動きとなれば、日本株の上昇余地はかなり拡大すると思われます。弊社のマクロ経済分析に基づくトップダウン・アプローチを用いた場合、2024年12月末のTOPIXの12ヵ月先予想EPSは206.4ポイント、株価収益率(PER)は14.3倍台と想定されるため、TOPIXは両者を掛け合わせた2,960ポイントとなります。
また、日経平均株価をTOPIXで割って算出するNT倍率の直近値を参考に、14.1倍台で計算すると、日経平均は41,800円となります。なお、12月25日付レポートで触れた通り、2024年に米利下げ開始時期が前倒しになることや、利下げ回数が増えることで、米10年国債利回りの低下ペースが速まり、ドル安・円高が想定よりも進むことは考慮しておく必要があると思われます。
日経平均の上昇トレンドは来年も継続、下値支持線と上値抵抗線の年末水準が一応の目安か
この先、仮にドル安・円高が進行し、2024年12月末時点のドル円が1ドル=130円程度に達したとすれば、輸出企業を中心とした企業業績には一定程度、マイナス要因になると考えられます。ただ、今年は1月に127円台をつけており、時間をかけて進む130円程度の円高であれば、企業業績にとってそれほど脅威にはならず、むしろ企業改革の進展や賃上げ傾向が続くことで、株高基調が維持される公算は大きいとみています。
日経平均は、2012年10月安値起点の「下値支持線」と、2013年5月高値起点の「上値抵抗線」で、長期上昇トレンドを形成しており(図表2)、2024年もトレンド継続が見込まれます。2024年12月末時点で、下値支持線は29,950円、上値抵抗線は36,250円に位置していますが、日経平均がこれらを下抜けるか、上抜けるかは、前述の3つのポイントが改善するか否か、マクロ環境が弊社の見通しに沿ったものとなるか否かにかかっています。
(2023年12月26日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日経平均の「上昇トレンド」は来年も継続 ~2024年の「日本株」見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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