今回は、インドでビジネスでの「アポイント」を取る際の留意点について説明します。※本連載は、株式会社インド・ビジネス・センター代表取締役社長・島田卓氏の著書『インドとビジネスをするための鉄則55』(アルク)から一部を抜粋し、インドでビジネスをするための様々な基礎知識をご紹介します。

13~15時の時間帯のアポ依頼は避ける

Q.アポ(面会の約束)を取るときに注意することはありますか?

 

A.昼食が遅めなので13~15時の時間帯は避けましょう。地位が高い相手の場合は、「とりあえずごあいさつを」といった理由でアポを取るのは難しいので、時間を割きたいという気にさせる理由が必要です。

 

基本的には日本と同じですが、インドでは昼食が遅めなので13〜15時の時間帯は避けましょう。一般的に政府機関や大手企業では、まず電話をかけると、相手の秘書から依頼状(request letter)をメールで送るように言われます。面会の目的、何という会社のどういう肩書の人間が何人訪問するのかなどを明記して送信してください。

 

特に相手の地位が高い場合、「とりあえずごあいさつを」といってアポを取るのは困難でしょう。相手を納得させ、時間を割こうという気にさせる理由が必要です。

 

また、公的機関に勤務する人にアポを取る際は、自分の携帯電話の番号に加え、運転手の携帯番号、車のナンバーなども聞かれます。セキュリティー上、事前登録しておいて敷地内にスムーズに入れるようにするためです。

 

こうした事情もあり、渡航前の早い段階で面会を依頼するのは難しいと考える人も多いようです。確かに2、3カ月前のアポは一般的に取りにくいですが、ビザ申請のため相手方の書状が求められる場合などには、まずはやり取りを始める必要があります。不安がある場合は、事情に通じたコンサルタントなどに相談すると安心でしょう。

渋滞を見込んで「早めの移動」が基本

渡航前にアポを取った場合、前日か当日の朝、確認の電話を入れてください。間が空いて不安なら数日前でもいいでしょう。相手の一方的な都合で直前に変更されることも珍しくありませんが、怒っても仕方がないので新たなアポを取りつけることです。

 

当日は、渋滞を見込んで早めに移動します。所在地表記が難解な上、ナビに頼れないことが多く、またインド人は地図を読むのが得意でない人が多いので、地図を用意していっても役に立たない場合があります。近くまで行って訪問先に電話をかけ、先方から自分のドライバーに行き方を指示してもらうのが一番確実です。

 

どうしても遅刻しそうなときも、電話を入れて現在地を伝えることです。「あと30分くらいだね。OK、待っている」「次の予定があるので延期しよう」などとなります。逆に、思いのほか道路が空いていて早く着くこともあります。その場合も、遠慮せず早く着いたと知らせます。定時到着が難しい社会ではよくあることなので、相手も状況により約束を早めてくれます。無理でも応接室などに案内してくれるでしょう。

本連載は、2016年1月15日刊行の書籍『インドとビジネスをするための鉄則55』から抜粋したものです。その後の社会情勢等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

インドとビジネスをするための鉄則55

インドとビジネスをするための鉄則55

島田 卓

アルク

これまでインドとまったく接点がなかったのに、会社から突然インド担当を命じられた! そんなビジネスパーソンが知っておきたい、インド社会の基礎知識、仕事を着実にこなすコツ、マナーやNG行動、インドで生活するための情…

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