「時間にルーズ」は本当!? インドの一般的なビジネスタイム

本連載は、株式会社インド・ビジネス・センター代表取締役社長・島田卓氏の著書『インドとビジネスをするための鉄則55』(アルク)から一部を抜粋し、インドでビジネスをするための様々な基礎知識をご紹介します。

「宗教上の祝祭日」にも注意が必要

Q.インドの一般的なビジネスタイムを教えてください。

 

A.勤務時間は9〜17時ごろが一般的です。仕事は、やるべきことを一つ一つ積み上げていく方式なので、どうしても予定より遅れがちに。遅れた場合の対処法を契約書で定めておくといいでしょう。

 

それぞれの企業により、また地域によっても違いがありますが、目安として一般的な勤務時間は9〜17時ごろと考えていいでしょう。グジャラート州などは10時始まりの場合も多いようです。朝晩の混雑を避けるために、早朝からの始業としたり、20時ごろまで働いたりするケースも見受けられます。

 

官公庁も原則として9〜17時です。2014年にナレンドラ・モディ首相が就任し、職員の就業時間に厳しくなりました。首相府に生体認証による出退勤管理システムを導入したところ、7割強の職員が定時に登庁していないことが判明して大いに発破をかけられ、大臣にも9時までに自室に入るよう指示が出されました。今までのように朝はゆっくり始めればいい、とはいかなくなったようです。

 

●休日、休暇

一般企業も官公庁も、日本のように土・日曜を休む週休2日制が増えてきました。以前は土曜日は半日勤務が多く、今もそうしている会社があります。特に製造業では土曜日も通常勤務というところが大半です。

 

法律で定められた全国的な休日は、1月26 日の共和国記念日、8月15日の独立記念日、10月2日のマハトマ・ガンジー生誕日の3日です。ほかに、州によりさまざまな祝日が定められています。ヒンドゥー教、イスラム教などの宗教上の祝祭日は、太陰暦によるために年ごとに日付が変わるので、注意が必要です。

 

ヒンドゥー教の新年の祝いであるディワリもその一つ。太陰暦7番目の月の新月の日が祝日となり(太陽暦では10月下旬〜11月上旬)、軒先にランプやろうそくの灯をともして祝います。ディワリに向けた1カ月くらいはインド最大の祝祭シーズンです。インドの企業は、一般的に4〜3月の会計年度を採用しており、3月は年度末で忙しくなります。

 

●銀行、商店、レストラン

銀行の窓口は、一般的に10時から14時まで開いています。土曜日は12時までで、日曜・祝日は休みです。商店の営業時間は地域や店によりさまざまですが、おおまかな目安としては9〜19時くらいと考えていいでしょう。昼休みのため、いったん閉める店もあります。

 

ショッピングモールやデパートなど大型店の場合は、10〜20時または21時くらいまで開いています。休みは店により異なりますが、大型店はたいてい日曜、祝日も変わらず営業しています。スーパーは朝早く8時から開いている店もあり、閉店時間も20時、22時などと店舗により違います。

 

レストランについては、ランチタイムは13時ごろから、ディナータイムは19時ごろからの営業が一般的です。ランチとディナーの間は店を閉めるのが普通です。全体的に昼、夜とも、日本より遅めに始まると考えておいたほうがいいでしょう。閉店時間もさまざまですが、23時ごろまで営業しているレストランも珍しくありません。

日本的な感覚ではまったく話が合わない「仕事の納期」

●インド人の時間感覚

「インド人は時間を守らない」とよく言われますが、原因の一つとして日本のようにインフラが整備されていないことが挙げられます。事故や渋滞が頻繁に起きるので、その影響で遅刻することがよくあります。遅れを見込んで早く出るというのは日本的な考え方で、インドの人々は必ずしもそのようには考えません。何も起こらず、スムーズに移動できれば定刻に着くという発想が働いているようです。

 

こちら側も30分くらいの遅れは誤差のうち、というくらいに思っていれば気が楽になります。従業員の遅刻が続いた場合、日本の感覚で頭ごなしに叱りつけてもうまくいきません。まずは、その人なりの言い分、理由を聞きます。その上で、「毎日渋滞するんだね。それなら渋滞の分を見込むことにしないか」などと改善策を考えるようにするのが得策です。ルールを決め、書面にしておくといいでしょう。

 

●納期

仕事の納期についても、間に合わせるために逆算して進める日本とはアプローチが違います。やるべきことをやり、一つ一つ積み上げていく方式なので、どうしても遅れが出がちです。遅れたとしても成果を上げるためだから仕方ないと捉えるので、日本的な感覚ではまったく話が合わないことを覚悟しておいてください。

 

欧米の企業はこの積み上げ方式を理解し、遅れた場合にはどう対処するかを契約書で定めておきます。日本の企業もあらかじめ細かく詰め、契約書に盛り込まないと、「遅れた分を払ってくれ」「遅れたんだから安くしろ」と平行線になりがちです。

株式会社インド・ビジネス・センター 代表取締役社長

1972年、明治大学商学部を卒業し、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。本店営業部、ロサンジェルス支店、事務管理部、大阪支店などを経て、91年インド・ニューデリー支店次長に着任、約4年間インドに駐在。97年同行を退職、同年4月に株式会社インド・ビジネス・センターを設立し、現職に。東京商工会議所平成27年度中小企業国際展開アドバイザー。著書多数。

著者紹介

連載インドで円滑にビジネスをするための基礎知識

インドとビジネスをするための鉄則55

インドとビジネスをするための鉄則55

島田 卓

アルク

これまでインドとまったく接点がなかったのに、会社から突然インド担当を命じられた! そんなビジネスパーソンが知っておきたい、インド社会の基礎知識、仕事を着実にこなすコツ、マナーやNG行動、インドで生活するための情…

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