リスク対策に投資する場合、情報の棚卸をしておこう
《健康リスク対策》
医療保険やがん保険など、“自分の身体を守るための生命保険”についても情報を押さえておく順番を間違えないようにしましょう。
病気やケガによって病院のお世話になった場合、公的医療保険制度により、保険適用治療の自己負担の割合は全国一律で決まっています。
治療費が高額になった場合には、「高額療養費制度」という収入に連動して自己負担額の上限を決める制度もあるため、持ち出しは限定的です。さ
らに、会社によっては独自の健康保険組合を組成しており、社員の負担を抑える仕組みを持っています。
たとえば一部の上場企業の健康保険組合では、社員の医療費の自己負担について月2万円が上限となるように補助が出るなど、恵まれた環境が用意されています。
これらの制度を把握したうえで、なお不安を感じるのであれば、営利目的ではない「共済」や、民間の「医療保険」や「がん保険」を検討するとよいでしょう。
このように書くと、民間の保険のメリットがあまりないように感じるかもしれませんが、民間の保険は共済にはない高額な保険金を受け取ることができるメリットがあるうえ、各社それぞれに特徴のある商品があります。
ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談のうえ、自分の考えに合う保険をうまく使えばよいでしょう。
昨今では、国や会社の制度が充実しているため、預金さえあれば民間の生命保険や医療保険はいらないというネット記事やYouTubeなどでの発信も増えています。
しかし実態としては、いったん病気になってしまうと、貯蓄を取りくずしてでも治療していこうという気持ちになかなかなりにくいのです。特に小さな子どものいる家庭では、今後の教育費を心配するあまり、貯金を使って治療するのを躊躇ってしまうことが少なくありません。
いざそのときに自分はどうするのか想像を巡らせ、必要とあらば民間の保険も活用することが、真の合理的な判断だと言えるのではないでしょうか。
《損害賠償リスク対策》
眼科を開業したばかりの40代の医師を、走行中のタクシーが轢いて死亡させてしまった事故がありました。死亡賠償額は約5億円。
これだけの請求が来てしまったら、人生は破滅です。
だからこそ、万一交通事故を起こしてしまったときのために、リスクを肩代わりする自動車保険(任意保険)に加入しておくと安心です。強制加入の自賠責保険だけでは、死亡保障は3000万円までしか出ません。
同様に、火災保険もオススメする損害保険の一つです。
もし火事で家が燃えた場合、新しく家を建てる費用だけでなく、家電や家財などもすべて購入し直す必要があります。多くの火災保険はそれらのお金も補償してくれます。
《訴訟リスク・相続トラブル対策》
訴訟リスクや相続トラブルに備えるなら、専門家の力を借りられる状況を作っておくことが必要です。
法律についての相談ができる「弁護士」、税務の相談ができる「税理士」、登記や供託の相談ができる「司法書士」、役所に提出する資料の相談ができる「行政書士」、労働保険や社会保険についての相談ができる「社労士」などは、身近に信頼のおける人を作っておくとよいでしょう。
士業同士は横でつながっていることも多いので、ある士業の人から、異業種の士業の方を紹介してもらってもよいでしょう。
一般の方は資産を増やすことに目が向きすぎるあまり、リスク対策がおろそかになりがちです。
“不測の事態が起きたら破滅する”という危機感をかかえながら資産を増やすよりも、“不測の事態にも対応できる”という安心感を持ちながら資産を増やしたほうが、メンタル的にも安定します。
大切な資産を守るために、リスク対策にも合理的にお金を使うことができるようになれば、あなたもお金持ちの思考に近付いている証拠です。
適切なリスク対策を行うことで、何が起きてもお金に困らない“負けない人生”を送れるように準備しましょう。
立川 健悟
ファイナンシャルプランナー
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