投機商品が長期の「資産形成」に不向きなワケ
投資と投機の違いは、投資の時間軸にも影響を及ぼします。
投機の場合、それらを長期間にわたって保有し続けたとしても、価値は自己増殖しません。それは、お財布に入れた1万円札が1万1,000円にならないということからもお分かりいただけるでしょう。
したがって、収益を得るためには価格変動に頼るしかなく、その価格変動も、常に上昇し続けるものではありません。その時々の需給バランスによって、価格は上がったり、下がったりを繰り返します。
株価のように企業の業績・キャッシュフローをベースにトレンドを形成して長期間、値上がりを続けるようなことにはならないのです。つまり投機の対象となる商品で一定の収益を得るためには、基本的に短期の値動きを狙った売買になります。
でも、株式のような投資は別です。前述したように、株価は企業価値の持続的な向上によって、長期的に値上がりするという性質を持っています。
設備投資やM&Aによって成長が加速したり、複利効果で収益が加速する効果も重要なポイントです。したがって、株式は長期投資に耐えられるのです。これは、その株式を組み入れて運用する投資信託も同じと考えて良いでしょう。
ちなみに投機の一種として挙げた「バイナリーオプション」ですが、これはたとえば1時間後の為替レートが円高になるのか、それとも円安になるのかを当てる、一種の丁半博打のようなものです。
価値の増殖などは全く関係なく、単に対象物の価格変動の方向性を当てるだけの商品ですから、投資でも何でもありません。
ここまで申し上げると、多くの方にはご理解いただけるかと思いますが、投機商品は長期の資産形成には全く不向きです。
それはそれで、遊びでと割り切れるなら、多少の資金でやってみるのは良いと思いますが、長期の資産形成をめざすのであれば、投機的な商品には手を出さず、あくまでも投資商品で行うことをお勧めします。
中山 大輔
元JPモルガン・アセット・マネジメント ファンドマネジャー
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