貯蓄から投資へ…いよいよ「個人マネー」が動く
個人の資産運用は、これから大きく変わっていくと考えられます。
日本銀行が四半期ベースで公表している「資金循環統計」の数字を見ると、2023年3月末時点における家計金融資産の総額は2,043兆円で、過去最高を更新しました([図表]参照)。
このうち、現金・預金で保有されている額が1,107兆円で、全体の54.2%に相当します。もし、ここから5%のお金が株式市場に流れたら、金額にすると55兆円もの資金が株式市場に流入することになります。
ちなみに東証プライム市場の時価総額は、2023年7月18日時点で805兆7,168億円なので、ここに55兆円もの資金が流入してきたら、明らかに株価にはポジティブな影響を及ぼすでしょう。
そんなわけで、政府は2001年から「貯蓄から投資へ」という掛け声を上げ、それを一所懸命に推進してきたのです。とはいうものの、この20年にわたって、個人金融資産に占める現金・預金の比率は上昇傾向をたどってきました。
「日本人は預金大好き」といわれるのは、こうした数字によって裏付けられたものです。
しかし、恐らく今回の局面においては、さすがに貯蓄から資産形成への動きが出てくるものと期待しています。なぜなら、投資を中心にした資産形成に動かざるを得ない要因が2つあるからです。それは「インフレ」と「新NISA」です。
投資に動く要因1|インフレ
第一にインフレです。デフレ経済のもとで物価がどんどん下がっていくなかでは、資産を現金のまま保有していても、何の心配もいりません。物価が下がっていくのですから、それは実質的に運用でお金を増やしているのと同じ理屈になります。
しかし、インフレになって物価が上昇する時、資産の多くを現金で持っていたら、確実に購買力は失われていきます。
今年買うより来年買うほうがより多くの資金が必要になるということです。預金で運用するにも、日本の場合、どうやらしばらくは金利が本格的に上昇する気配を見せないので、その利息でインフレに勝つことはできないでしょう。
となると、インフレに強い資産を持つしかありません。そのひとつが株式です。
インフレという環境のもとでは、一般的により多くの人が株式を選好するというのが自然な流れなのです。
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