今、話題の「現代貨幣理論」とは?
♦「日本が財政破綻しない」理由
2019年に、米国で突如注目された理論が「MMT(Modern Monetary Theory)」です。このMMTは「現代貨幣理論」と訳されますが、提唱者のひとりが、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授です。
「自国の通貨を持つ国は、自国通貨建てで、いくら国債を発行しても、債務不履行(デフォルト)にはならない」という理論なのです。いくら借金しようと、いざとなれば自ら新たにお金を刷って返せばよいだけなので、返済不能にもならず、財政破綻もしないというのです([図表2][図表3]参照)。
その実例として、GDPの2倍を超える借金を抱える日本まで引き合いに出し、「国の借金が膨張しているのに、金利も上がらず、財政破綻しない日本が、MMTの正しさを証明している」とケルトン教授は主張します。
このMMTは、2020年に大統領選に出馬して敗れた民主党急進左派のバーニー・サンダース上院議員や全米最年少で下院に当選した労働者階級出身のアレクサンドリア・オカシオコルテス議員など、民主党左派や若者たちの熱狂的な支持を集めました。
地球温暖化対策や国民皆保険制度の巨額の財源を確保するのに、このMMTの理論を実践すればよいと考えたからです。
先進国が低成長で、民間による投資が見込めないときには、政府が積極的な財政出動で補うべきというのがMMTの考え方です。日本の政治家のなかにも、MMTに飛びつき、財政支出を拡大させたい人が増えています。
◆「現代貨幣理論」はトンデモ理論?
名だたる経済学者たちは、「MMTは経済理論などではない」と否定的なのが現状です。
主流派経済学者は皆一様に「ハイパーインフレのリスクを軽視している」と批判しています。国債の増発を続けていれば、いつか金利が上がり(国債価格の下落)、通貨の信認を失えば輸入物価の上昇でハイパーインフレになりかねないというのが、その理由です。
これに対し、ケルトン教授は、「インフレの兆しがあれば、財政出動をやめるだけでよく、インフレを過度に恐れるな」と反論しています。
しかし、世界銀行のレポート「許容できない債務」によれば、「国債は海外の民間投資家保有率が20%を超えると価格急落の懸念が高まる」としています。また、「財政出動をやめる」といっても、議会制民主主義・財政民主主義の下では、財政規律について急激にそれまでと逆方向への政策転換ができるという前提自体が、現実的ではありません。
神樹 兵輔
経済アナリスト・投資&マネーコンサルタント
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