(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では猛スピードで「少子高齢化」が進んでおり、若い世代への負担は増える一方です。このような状況を生み出した原因はどこにあるのでしょうか。また、日本社会は今後どのような局面を迎えるのでしょうか。経済アナリスト・神樹兵輔氏の著書『世界一役に立つ 図解 経済の本』(三笠書房)から、一部抜粋してお伝えします。

「少子化」「高齢化」でどうなる日本経済

♦「少子高齢化」の基本

日本は猛スピードで少子高齢化が進み、それに伴い総人口も減少しています。毎年のように人口が減り続けています。

 

人口を減らさないためには、合計特殊出生率(ひとりの女性が生涯に産む子どもの人数)が、人口置換水準(人口が増加も減少しない状態の合計特殊出生率)の2.07を上回らなければなりません。しかし、1975年には前年の2.05を割り込んで1.91となり、以来ずっと低空飛行が続き、2022年は1.27まで落ち込んでいます。

 

「少子化」の原因については、複合的な要素が挙げられています。たとえば、「経済的不安」「未婚率の上昇(生涯未婚率=50歳時点の未婚率は男28.3%、女17.8%)」や「晩婚化の進展」「夫婦の出生力の低下」などです。

 

「夫婦の出生力の低下」には、「仕事と子育てを両立させる環境の未整備」や「結婚や出産への価値観の変化」「子育ての負担感の増大」などが含まれています。

 

[図表1]「少子高齢化」とは?

 

実際、保育所や学童保育施設の未整備、育児休業取得の困難さ、勤務時間などに便宜が図られないなどの事例が、日々新聞やテレビのニュースで取り上げられるものの、あまり改善していないのが実感されるでしょう。

 

国も少子化対策、子育て世代の支援を唱えるばかりで、ほとんど成果は出ていません。

 

また、「少子化」とともに必ず取り上げられる問題に、「高齢化」があります。2021年の日本の高齢化率は、29.79%で世界一なのです。

 

◆減少し続けている日本のGDP

こうした「少子高齢化」で危惧されるのは、65歳以上の高齢者を支える現役世代(生産年齢人口15歳から64歳)の減少です。1960年には高齢者ひとりを11人で支えていましたが、2020年には2人で支えています。

 

これが、2040年には1.5人になり、2060年には1.4人になります。高齢者の介護現場での人手不足も深刻になっていきます。

 

日本経済に与えるインパクトで大きいのは総人口の減少と生産年齢人口の減少です。これがGDPの6割を占める「消費」を減らすためGDPも縮小します。

 

こうした状況を考えると、暗い未来にも見えますが、わずかな希望的観測もあります。AIやロボットが活躍する社会の到来で、労働力不足などの問題は解決するという考え方もあるのです。

 

[図表2]「少子化」「高齢化」でどうなる日本経済

 

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