(※写真はイメージです/PIXTA)

政府は2025年の大阪万博開催までにキャッシュレス決済比率40%台を目指す一方で、2024年に「新紙幣」を発行します。そこにはどのような狙いがあるのでしょうか。経済アナリスト・神樹兵輔氏の著書『世界一役に立つ 図解 経済の本』(三笠書房)から、一部抜粋してお伝えします。

日本で「キャッシュレス」が進まない理由

キャッシュレスとは、現金以外の決済手段をさします。クレジットカード、Suicaなどの電子マネー、PayPayなどのQRコード決済アプリがすでに活用されています。

 

キャッシュレス化は「IT社会」「AI社会」への移行に避けて通れません。人口減少社会の日本で、生産性向上や社会の効率化は必須の課題です。キャッシュレス化の進んだ海外からの訪日客は、現金を持たない人もいます。

 

また、キャッシュレスは、コロナ等の感染防止にも有効です。さらに、現金管理の店舗ほど、従業員のレジ精算業務などの負担も重くなります。ただし、日本のキャッシュレス化は遅れています。

 

その原因は、現金信仰が根強いことだけでなく、ATM網のインフラが普及していること、また、プリペイドカードや公共料金の口座引き落としなど多くの便利なサービスが普及していることにあります。多くの人たちにキャッシュレスの利便性を理解してもらえるかが、決済比率を上げるポイントです。

 

むしろ、このままでは、途上国のほうがIT化、キャッシュレス化は一気に進むことになるでしょう。

 

キャッシュレス決済業者が乱立の日本では、業者同士の競争も熾烈です。

 

2018年初頭に総額ベースで18%台だった日本のキャッシュレス決済比率は、2021年に32.5%まで上昇しました。政府は、2025年の大阪万博までに40%、将来的には世界最高水準の80%台を目指しています([図表1]参照)。

 

[図表1]「キャッシュレス化」とは?

 

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