(※写真はイメージです/PIXTA)

いくら仲の良い親子であっても、「お金」が絡むとトラブルに発展するケースは少なくありません。夫婦2人で悠々自適な老後生活を送っていたA家は、娘の出戻りによって「破産の危機」に陥ってしまったのでした。平穏な老後生活を脅かす“思わぬリスク”とその対応策について、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、具体的な事例をもとに解説します。

長女の“豹変”ぶりに、唖然とするA夫婦

「少しの間だけ」といっていた長女でしたが、いざ一緒に住み始めると振る舞いが一変。孫の世話は両親に任せっきり、家事の手伝いはなにもしない、仕事に就く気配もない……。

 

さらに、2人での生活では十分だった年金も、4人での生活となると話は別です。貯蓄から切り崩す日々が数ヵ月続きました。そのようななか、今後の家計が心配になった夫婦は、知り合いの筆者に相談にみえたのでした。

 

夫婦から話を聞いた筆者は、さっそく夫婦の今後の家計を試算してみました。毎月収入は今までと変わらず、年金収入の月額30万3,625円。毎月支出は娘子で15万円増えるとします。

※ 片親と未婚の子供から成る世帯の内、18歳未満の子供のみの世帯の消費支出額は231,859円(総務省「2022年家計調査世帯分類型別」より)となっているのを参考に、筆者は夫婦と同居している娘孫の毎月の支出額を、孫の教育費を除き15万円として試算した。

 

出所:筆者が作成
【図表】A夫婦とA夫婦に娘孫が同居した時の家計収支の試算 出所:筆者が作成

 

このまま夫婦と娘孫が一緒に生活して、娘がまったくお金を入れないと、Aさんが85歳ごろには、A夫婦の貯蓄も底をつきます。またその頃には、孫は大学受験を迎えます。

 

娘は「実家に入れるお金があるのなら、そもそも帰ってきていないわよ」と、今後もお金を入れるつもりはなさそうとのこと。

 

筆者は、「このまま同居して生活を続けるかは、ご家族で決めることです。しかし、今のままでは将来困るのは娘さん自身です。またご両親の生活は、今後お孫さんの教育費も必要になり、困るどころか破産しかねません」と話しました。

 

そして筆者は、A家の問題を解決するために3つの提案をしました。

 

1.筆者が試算した今後の家計収支の内容を娘に話す

 

2.「子育て・生活支援策」、「就業支援策」、「養育費確保策」、「経済的支援策」と、ひとり親家庭の支援をしてくれる「ひとり親家庭就業自立支援センター」が各市町村に設置されているので訪問してみる

 

3.娘の自立を促すためにも、同居を解消する

 

次ページ爆発した母と号泣する娘…A家の結末は

※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
※本記事で紹介した介護サービスの手続きの詳細は、自治体ごとに異なるところがあります。

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