※画像はイメージです/PIXTA

インフレ、低賃金、少子高齢化など、厳しい状況におかれた日本経済。しかし、日本経済にはまだまだ成長できるポテンシャルが残っていると、元IMF(国際通貨基金)エコノミストで東京都立大学経済経営学部教授の宮本弘曉氏はいいます。本記事では、同氏による著書『一人負けニッポンの勝機 世界インフレと日本の未来』(ウェッジ社)から、日本経済が再び軌道に乗るための具体策について解説します。

1.教育改革で人的資本の価値を高める

労働者の生産性を高めるためには人的投資も重要です。技術進歩や脱炭素化により経済・社会構造が大きく変化する中では、個人はその変化に対応するためにも絶えず学び続ける必要があります。

 

日本の労働者が自己啓発に取り組む割合が他国と比べて低いというデータは、厳しい現実を示しています。しかし、これは逆に、日本人に大きな「伸びしろ」があることを示しています。自己啓発優遇税制などの仕組みにより、労働者が自らスキルアップを目指しやすい環境を整えつつ、教育改革により労働者の人的投資を高めることは十分に可能です。

 

日本の教育体系はまだ20世紀の工業社会を支えたもののままです。一方、世界では教育にテクノロジーを取り入れる「エドテック」が進み、学習者一人ひとりに合わせた教材や学習方法を提供するアダプティブラーニングが進んでいます。

 

しかし、日本では、従来型の決められた教室・学年で、黒板にチョーク、紙と鉛筆といった伝統的な道具を使って、全員が同じ内容を同じペースで学ぶというスタイルが続けられています。

 

知識を注入し、パターン化された技能を習得することに注力する教育は工業社会では重要ですが、今、社会で求められているのは創造力、問題解決能力、そして協働力を備えたグローバルな人材です。そのためには、教育改革が必要です。個人の人的資本を向上させるために、テクノロジーを最大限活用して個々の能力を伸ばす教育を実現すべきです。

 

オンライン教育の利用はその一例です。優れた教師がオンラインで講義を行えば、生徒はどこにいても同じ質の高い授業を受けることが可能になります。現場の教師たちは生徒と一緒に動画を見ながら、必要に応じて講義を補足したり、オンライン学習に向かない生徒をサポートしたりすることで、よりパーソナライズされた教育を提供できます。

 

また、AIを用いて個々の学習進度に合わせた教育を行うことも可能です。コンピュータやタブレットを活用し、生徒一人ひとりに合わせたアダプティブラーニングを実施すべきです。

 

さらに、グローバル化が進む現代社会では、外国語の習得は必須です。公立の小中学校での学習だけで、十分に英語でコミュニケーションを取れるぐらいになるように徹底的に英語教育を行うべきです。公立学校のレベルを上げることは、私立校受験のための費用や授業料負担を軽減し、家計の教育費負担を下げることにもつながります。

 

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一人負けニッポンの勝機

一人負けニッポンの勝機

宮本 弘曉

ウェッジ社

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