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インフレ、低賃金、少子高齢化など、厳しい状況におかれた日本経済。しかし、日本経済にはまだまだ成長できるポテンシャルが残っていると、元IMF(国際通貨基金)エコノミストで東京都立大学経済経営学部教授の宮本弘曉氏はいいます。本記事では、同氏による著書『一人負けニッポンの勝機 世界インフレと日本の未来』(ウェッジ社)から、日本経済が再び軌道に乗るための具体策について解説します。

2.高齢者でも働きやすい環境づくり

生産性の向上を図ると同時に、少しでも労働力不足を補うためにも、高齢者、女性、外国人労働者のさらなる活躍の場を提供することが重要です。人生100年時代には、望めば誰でも生涯現役で働くことができるような社会・経済環境の整備が必要です。

 

高齢者が積極的に社会に参加することで、彼らの労働所得が増え、消費需要の創出にもつながります。また、社会保障給付への依存も軽減され、勤労者の税負担軽減にもつながる可能性があります。支えられる側から、支える側になる人を増やす。つまり、社会に貢献できる人を増やすべきです。

 

高齢者雇用のためには、テレワークなどを活用することが有用でしょう。働く場所や時間の柔軟性を高めるテレワークがさらに普及すれば、体力的には通勤が厳しい高齢者でも働くことが可能です。

 

また、高齢者をサポートする新技術の開発も、この問題の解決に一役買います。高齢化のフロントランナーである日本がロボットやAIなどのテクノロジーを用いて高齢者の雇用を支える方策を模索すれば、それは将来的に高齢化社会を迎える他の国への輸出も視野に入れられます。

 

これとも関連することですが、高齢者向けのビジネスは今後大いに伸びる可能性があります。人口減少という現状から、国内ビジネスのマーケットは縮小すると一般的に思われがちですが、決してそんなことはありません。高齢化の進行は避けられない事実である一方で、それは新たなビジネスチャンス、巨大な市場を生み出す可能性があります。

 

そして、そのようなビジネスを成功させるためには、高齢者のニーズを的確に把握し、彼らが欲しいと思える商品やサービスを開発する必要があります。そこで重要な役割を果たすのが、高齢者自身の労働や発想です。つまり、高齢者の雇用は新たなビジネスチャンスの創出と深く結びついているのです。

 

ありとあらゆる人が雇用機会に恵まれるためには、賃金は年功序列ではなく、労働成果に基づくものに変える必要があります。これにより、若い人でも、高い給料が支払われるようになります。

 

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一人負けニッポンの勝機

一人負けニッポンの勝機

宮本 弘曉

ウェッジ社

「働いても働いても貧乏から抜け出せない!?」…経済大国ニッポンが賃上げもままならない「一億総貧国」に転落した根本原因とは? 2023年、年明け早々、食料品の3度目の値上げの報道がなされ、物価高騰が生活者レベルで重くの…

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