公的年金だけでは老後安泰とはいえない現実
日本ファイナンシャルプランナー協会が行った調査によると、なんと日本人の約8割にあたる人たちが老後資金に対する不安を感じていることが明らかになっています。これだけ多くの人が老後資金に対する不安を感じている理由と実情を考察してみましょう。
受給開始年齢が引き上げられる可能性
マクロ経済スライドでは受給金額が減る可能性が指摘されていますが、それと同時によく取り沙汰されるのが、受給開始年齢の引き上げです。実際に平成12年(2000年)に厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた経緯もあるため、「次は65歳から70歳に引き上げられるのでは」という噂が、まことしやかに囁かれています。
現在でも受給開始年齢を自身の意思で70歳まで引き上げることができますが、その上限を75歳にする制度改正も行われました。こうした動きを見ると、受給開始年齢が引き上げられる可能性は十分あるでしょう。
生活費はなかなか減らせない
受給できる年金額が下がるからといって、生活に必要なお金が大きく減らせるわけではありません。総務省が発表した「家計調査報告2023年7月分」によると、2人以上世帯の1世帯あたり家計支出は約28万円です。仮に厚生年金と国民年金合わせて21万円の給付があっても7万円程度の赤字になっています。
生活費以外にも、夫婦で海外旅行をしたい、孫に何か買ってあげたい、老人ホームに入りたいと思うと、さらにお金は必要になります。このような老後に必要なお金は、自分で用意しなければなりません。
そんな状況にかかわらず、いまの預貯金の利率は非常に低く0.002%なども普通です。このままでは一向に資産を増やすことができませんが、早くから適切な資産運用をはじめることで、無理なく老後資金をつくることができます。
年金受給額を把握している人はわずか
ところで、年金に不安を感じているものの、自分の将来の年金受給額がいくらになるのかご存じでしょうか。定期的に送付される「ねんきん定期便」では将来受給できる年金の見込み額などが記載されていますが、これをしっかりチェックしている人は少数派なのではないかと思います。
わかりにくい、もっと先のことなので現実味がもてないなど理由はさまざまだと思いますが、公的年金に不安を抱いている一方で受給額を正確に把握していない人が多いのは、公的年金に対する根本的な不信があるからなのかもしれません。