マンション投資には「一棟物件」と「区分物件」という2つの選択肢があります。マンション投資を始めたいと思った際、一棟物件のほうがメリットが多いことはわかっていても、資金を用意しにくいことがネックとなります。そこで、一棟買いは無理でも規模感のあるマンション投資をしたいと考える人に向いているのが「バルク買い」です。本記事では、バルク買いについてのメリットや注意点などについて解説します。
「一棟買い」は資金が足りなくても…区分所有マンションを「バルク買い」する、これだけのメリット (※写真はイメージです/PIXTA)

「バルク買い」とは?

バルク買いは、分譲マンションの複数戸をまとめて取得することです。つまり、同じマンション内で複数の区分所有をします。

 

詳しくは後述しますが、ここで重要なのは投資用マンションを複数戸所有するのではなく、分譲マンションを複数戸所有することです。投資用マンションと分譲マンションはそもそも目的が異なるため、不動産投資においてもその違いが優位性となります。

 

まずは、「単に投資用マンションを複数戸所有するだけではない」ところを押さえておいてください。

 

分譲マンションでは、相続や資産整理のタイミングで、同じマンション内の住戸がいくつかまとめて売りに出されることがあります。それを逃さずまとめて購入するのです。決してチャンスが多いわけではありませんが、相続や地権者の等価交換などの関係で複数戸を所有していた人がその物件を一気に売りに出すことがあります。そういった物件はバルク売り物件と呼ばれています。

 

※不動産の等価交換とは、地権者が所有している土地の上にディベロッパーがマンションを建て、その完成したマンションの一部を土地の対価として交換する取引のこと

バルク買いのメリット

バルク買いには、多くのメリットがあります。単純に1戸だけを所有するよりも規模が大きくなるため、管理コストなどの面でスケールメリットを生かすことができます。投資の規模も大きくなるためキャッシュフローも大きくなり、資産形成の効果も大きくなります。

 

ただこれだけだと、異なるマンションで複数の区分所有をするのと変わらないと考える人もいるかもしれません。また、投資用マンションで複数の区分物件を所有するのと変わらないと感じる人もいるでしょう。分譲マンションのバルク買いにはこれら以外にも大きなメリットがあるので、それを3つの項目で解説します。

 

1.高い稼働率が見込める

空室は、不動産投資における最大のリスクです。いかに空室率を下げて稼働率を高めるかが成功のカギを握るわけですが、その意味で分譲マンションのバルク買いには優位性があります。なぜなら、投資用マンションと分譲マンションには、マンションを建てた「目的」に違いがあるからです。

 

投資用マンションはオーナー自身が住むのではなく、そこに入る入居者のためのマンションです。そのためいかに仕入れにあたる物件の取得費を安く抑えるかが重要になります。そこで投資用マンションでは内装や設備などでコストダウンが優先され、差別化が難しい現実があります。

 

その一方で分譲マンションはオーナー自身が住むためのものなので、内装や設備などにおいても上質なものが使われており、差別化が図られています。本来であれば自己居住用のマンションを賃貸物件にするのですから、投資用マンションと比べると物件の競争力が強く、高い稼働率が期待できます。

 

賃貸物件を検索できるサイトには「分譲賃貸」というカテゴリーが用意されていて、投資用ではなく分譲マンションの賃貸物件を探すための機能が設けられています。このことだけを見ても、分譲マンションは入居者からポジティブに捉えられていることが分かります。