NISAの拡充など、政府も後押しし、投資が盛んに勧められる昨今。しかし、まとまった収入となるボーナスをそのまま貯金に回しているという人はいまだに少なくありません。では、貯金だけで資産を保有することによるデメリットはどのようなところにあるのでしょうか? また、将来のため、老後のためにもボーナスというまとまったお金をしっかりと増やすにはどうすればよいのでしょうか? 本記事では、貯金のリスクと、初心者にもおすすめのボーナスの運用方法を解説していきます。
新NISAも拍車をかけ「投資」が勧められるも…ボーナスの使い道、圧倒的1位は「貯金」。いつまでも変わらない日本人 (※写真はイメージです/PIXTA)

ボーナスの使い道は「貯金・預金」が1位

日本人のボーナスの使い道に関する完全な統計は存在しません。しかし、各企業が行っているアンケート調査などから、ある程度の傾向をうかがい知ることは可能です。ボーナスの使い道についてはさまざまな企業や機関がアンケート調査を行っていますが、おおむねどの調査でも同様の結果が出ています。

 

そして各調査結果で共通しているのが、貯金や預金、貯蓄が第1位になっていることです(野村アセットマネジメント、株式会社ジェイック、マイナビなど)。ほかにも同種のアンケート結果がありますが、そのほとんどで貯金や預金、貯蓄が第1位となっています。

 

どれくらいの割合を貯蓄に回している?

それでは、ボーナスのうちどの程度の割合を貯金や預金、貯蓄に回しているのでしょうか。株式会社マイナビが2023年8月に調査した結果には、「貯蓄と消費の割合」に関する回答が掲載されています。最も多いのは「7:3」で17.1%、次に「5:5」で15.9%、そして「8:2」が14%です。これらを総合すると、多くの人が少なくとも半分、さらにそれ以上の比率を貯蓄に回していることがわかります。

 

日本人は投資よりも貯蓄を好む国民性だといわれますが、この調査結果を見てもその傾向をはっきりと観察できます。

預金ではお金を増やせない

1900年ごろまでの日本では、普通預金の金利が3%弱、定期では6%強ありました。銀行に預けておくだけでも資産運用の効果は十分見込めました。しかしバブル崩壊後、景気立て直しのために行われた金融緩和政策の結果、銀行金利は大きく下がりました。


1999年には当時の速水日銀総裁による、いわゆる「ゼロ金利政策」となり、2016年の1月には、黒田日銀総裁による「マイナス金利政策」が実施されるに至ります。2024年の3月には植田日銀総裁がマイナス金利の解除を実施しましたが、依然として金利は1%を大きく下回ったままです。ほとんど金利のつかない現在、銀行に預け続けたままでは、お金が増えることはありません。

ボーナスを貯金だけに回していると…

ボーナスのすべてを資産運用に回すことには抵抗があるかもしれませんが、その一部だけでも資産運用に回すことをおすすめします。これには大きく2つの理由があります。

 

貯金、預金では今後も資産増が期待できない

すでに述べたように、日本は超低金利が続いています。マイナス金利を解除しても超低金利であることは変わりなく、当面この状況が続く見通しです。そうなると貯金、預金で資産を増やすことは期待できず、資産運用によって増やした人との経済格差が生まれてしまいます。

 

貯金だけだと実質的な価値が目減りする恐れがある

2022年以降、世界的にインフレが進行しています。インフレが進行すると貨幣の相対的な価値が低下するため、仮にインフレが10%進行したとすると、100万円の預金は実質的な価値が90万円分になります。


日本でもインフレはじわじわと進行しており、2024年4月に発表された消費者物価指数は前年同月比で2.9%の上昇となりました。理論的には100万円の価値が前年同月と比べて97万1,000円分になったことになります。


今後もインフレが進行すると仮定すると、預金金利よりもインフレ率が上回り、実質的な価値が目減りしてしまいます。