高級中古車の購入がなぜ「節税」になるか
◆購入代金を「費用」に計上できる「減価償却」のしくみ
「高級中古車」の購入による「節税」について説明する前に、まず、「新車」を購入した場合に代金がどのように費用計上されていくのか、おさらいしておきましょう。
自動車の購入代金は、「減価償却」という処理によって費用計上することになっています。減価償却は、事業用の固定資産を購入した場合に、その代金を一定期間にわたって「減価償却費」として費用計上していくものです。
減価償却を行う期間は資産の種類によって細かく定められており、「法定耐用年数」といいます。主な資産の耐用年数は国税庁HPで確認することができます。また、新品よりも中古資産のほうが耐用年数が短くなります。
同じ購入代金の額でも、法定耐用年数が短ければ短いほど、1年度あたりの減価償却費額が大きくなります。したがって、短期でたくさんの額を償却して費用計上できることをさして「節税」と表現されるのです。
自動車(新車)の法定耐用年数は「6年」です。そして、自動車の減価償却を行う場合は「定率法」という計算方法を使います。これによると、初年度に経費計上できるのは33.4%です。たとえば、1,200万円の自動車を購入した場合は、初年度に減価償却費として400万円計上できるということです。
◆節税するならおすすめは「3年10ヵ月以上の中古車」
上記を前提として、自動車を購入して「節税」をすることを考えるならば、「3年10ヵ月」以上の中古車を選ぶことをおすすめします。なぜなら、1年で代金全額を減価償却費に計上できるからです。
どういうことなのか説明します。中古車の耐用年数は新車よりも短くなっています。計算式を示すと以下の通りです。
・法定耐用年数が未経過の中古車:(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%(年)
・法定耐用年数を経過した中古車:法定耐用年数×20%(年)
また、これらの計算式の解に1年未満の端数(小数点以下の数値)出た場合、以下の処理を行います。
・年数が2年超の場合:1年未満の端数を切り捨てる
・年数が2年未満の場合:1年未満の端数を切り上げ(2年)
これらによると、中古車の耐用年数は最短で「2年」となり、前述の「定率法」を用いると1年で全額を償却できます。
耐用年数が2年となるギリギリのラインは、計算式の解が「2年11ヵ月」となるときです。端数の11ヵ月が切り捨てられて耐用年数が「2年」となるので、1年で償却できます。そして、計算式の解が「2年11ヵ月」になるのが、「3年10ヵ月落ちの中古車」なのです。