前回は、保険の死亡保障の必要性を判断するためのポイントを紹介しました。今回は、勤務先によっては加入が可能となる団体保険のメリットについて見ていきます。

団体保険に加入できるなら、個人保険より絶対にトク

これも会社によりますが、任意で「団体保険」に入れることもあります。団体保険(別名グループ保険)とは、会社が生命保険会社と契約し、その会社の社員だけが加入できる特殊な保険です。基本的に、1年更新の掛け捨て型定期保険で、死亡保障や医療保障の保険、家族が入れる保険が用意されている場合もあります。

 

団体保険は比較的大きな一部の会社だけに導入されているものですが、非常におトクな保険です。団体保険がある会社に勤めている場合は、かなりラッキーだと思っていいでしょう。

 

団体保険の最大の特徴は、保険料が極めて安いことです。一般向けに販売されているどんな生命保険や医療保険より安いといっても過言ではありません。企業規模(加入者数)や保障内容にもよりますが、一般に安いといわれる保険と比べても、年間保険料が半分以下に抑えられるケースもあります。

一般の保険会社が作っているのに、なぜ保険料が安い?

団体保険を作っているのは、一般の個人向け保険を販売しているのと同じ生命保険会社です。生命保険会社が一般の保険と団体保険になぜこのような差をつけられるかといえば、団体保険は複数の人を同じ保障期間の保険に入れることで、スケールメリットを得られるからです。

 

多少保険料を安くしても、まとめて入ってもらえれば、保険会社にとっての利益は大きいということです。それに、団体保険の加入者は、大きな企業に勤めている素性がはっきりした人であるため、信用力があります。その信用力の影響もあって、保険料は安く抑えられているのです。

 

私の勤めていた会社にも団体保険は導入されていたので、私は一般向けの保険に入らない代わりに、団体保険に毎年加入していました。そのときの保険料は、医療の保障で1年あたり3000円以下だったと記憶しています。私以外の職員も、基本の保障は団体保険で安く備えている人が大半でした(社内の不文律により、たいていの職員はそれに上乗せして一般の保険にも入っていましたが……)。

 

つまり、生命保険会社の職員というのは、自分たちだけ安い団体保険に加入し、一般のお客さまには割高な保険を販売していることもあるわけです。彼らは、保険料が実は割高だということを知っています。だからこそ、団体保険を選ぶのです。保険会社の人間が選ばないような商品を、皆さんがわざわざ選ぶというのは、おかしな話です。

 

ただし、団体保険にも注意点はあります。

 

団体保険に入っていてそのほかの保険には入っていなかった場合、もし転職した場合には、転職先に団体保険の制度がない可能性があります。そうなると、保険がなくなってしまうので、新たな保険を探して入り直さなければなりません。団体保険しか入っていなかった人は、一般の保険の高さに驚愕することになるでしょう。

本連載は、2014年8月30日刊行の書籍『30歳からはじめる一生お金に困らない蓄財術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書は情報の提供および学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資の成功を保証するものではなく、投資の際は必ずご自身の責任と判断で行ってください。本書の内容に関して運用した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。本書に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後変更されることがあります。

30歳からはじめる 一生お金に困らない蓄財術

30歳からはじめる 一生お金に困らない蓄財術

工藤 将太郎

幻冬舎メディアコンサルティング

社会保障制度の財源が危ぶまれ、賃金格差が広がる今の日本にあって、これから結婚・子育て・マイホームの購入・老後を迎えようとする世代には将来のお金に対する不安が広がっています。 将来のお金が不安な時、たいていの人は…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧