前回は、「雑誌」や「インターネット」の情報は保険選びに役立つかどうかを見てきました。今回は、将来に備えるために「保険以外」の選択肢も考えるべき理由を紹介します。

今は、自分で考えて行動しないと損をする時代

私は保険を売っている人を全面的に批判したいわけではありません。商品を売るのが仕事であるなら、そのために全力を尽くすのは当然です。それに対し、保険を買う側が、きちんとした情報を持っていないことにこそ問題があります。

 

今は、自分で考えて行動しないと損をする時代です。「情報弱者」という言葉がありますが、あふれる情報の中から正しいものを取捨選択する力がないと、情報弱者と決めつけられ、「努力しない自分が悪い」ということになってしまいます。

 

ですから、保険に入る際にも自分から必要な情報を取りにいかないと、営業マンのすすめるままに、必要のない大量の保険に加入してしまうことになります。

 

自分のお金を効率的に使いたいなら、営業マンに負けないだけの勉強はすべきです。それができない、したくないということは、自分が勉強する手間を惜しんで、営業マンの知識を借用することになりますから、もう手間賃と割り切って、高い手数料を支払うしかないでしょう。

 

それがイヤなら、やはり自分で勉強してみることです。勉強して情報を仕入れると、営業マンが口にしなかった真実が見えてきます。そうすれば、保険以外の選択肢も確実に見えてくるはずです。本連載で紹介した公的健康保険の保障や、会社の社内制度、団体保険などに関しては、真っ先に調べていただきたいところです。

 

ただし、勉強はしたけれど、やっぱり「この営業マンから保険を買いたい」という人も、一定数はいるでしょう。私は、自分で調べて、最低限の保険が必要と判断したうえで、受取人もきちんと理解している場合、インターネットの安い保険に入るのがベターだと考えています。しかし、営業マンにほれ込む人というのは多いものです。

 

保険業界の離職率はかなり高いので、営業マンが退職してしまったらどうするかを念頭に置いておく必要はあるでしょう。転職先の商品をすすめられることもあります。万が一亡くなった場合に、保険金の受取人が何の保険をいつ請求できるかフォローしてくれる人もいなくなります。

 

重要なのは、情報源を営業マンの営業トーク一本に絞らないことです。あくまで自分で情報を取りにいったうえで、保険に入るかどうかを考える。その姿勢が必ず求められます。

 

通常は、勉強していくと、保険にそこまで頼らなくてもいいし、効率的に蓄財をしていくためには、ほかの方法を選んだほうがいいはずだ―という結論に落ち着くはずです。

複数の金融商品を組み合わせて蓄財を

私自身もそうでした。私はサラリーマン時代、割と貯蓄をすることが好きだったので、給与の大部分を貯蓄に回していました。それを将来のための蓄財の原資にしようと考えたとき、果たして何を選ぶべきなのか? と考えたのです。

 

その結果、ここまでにも述べてきたような理由で、保険はそれほど使えないという結論になりました。もちろん将来のリスクに備えるにあたって必要な保険もありますが、それに偏ることなくいくつもの金融商品に資産を分散させるべきだと考えたからです。

 

その考えの下に、今ファイナンシャルプランニングやライフプランニングの仕事をする中で、強く意識しているのは、取り扱う商品を偏らせないことです。

 

ファイナンシャルプランナーといっても結局は生命保険代理店の社員であり、保険だけを取り扱う人が多いのですが、私は保険だけでなく、不動産や海外の金融商品なども、積極的に取り扱っています。これらをうまく組み合わせることで、トータルで見たときにうまく蓄財をすることができると考えたからです。

 

さまざまな用途に備えて、さまざまな金融商品をあてがうことから、私はこの考え方を「マネーパズル」と呼んでいます。保険も、パズルを埋める重要なピースの一つですが、保険だけではパズルは埋められません。保険の選び方も含めて、一生のマネープランをパズルに見立てて全体最適を図るのです。

本連載は、2014年8月30日刊行の書籍『30歳からはじめる一生お金に困らない蓄財術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書は情報の提供および学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資の成功を保証するものではなく、投資の際は必ずご自身の責任と判断で行ってください。本書の内容に関して運用した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。本書に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後変更されることがあります。

30歳からはじめる 一生お金に困らない蓄財術

30歳からはじめる 一生お金に困らない蓄財術

工藤 将太郎

幻冬舎メディアコンサルティング

社会保障制度の財源が危ぶまれ、賃金格差が広がる今の日本にあって、これから結婚・子育て・マイホームの購入・老後を迎えようとする世代には将来のお金に対する不安が広がっています。 将来のお金が不安な時、たいていの人は…

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