「明るい未来が見えません」親世代より“34万円減”の子世代の平均年収...25年間、低迷続く日本の賃金【元IMFエコノミストが解説】

「明るい未来が見えません」親世代より“34万円減”の子世代の平均年収...25年間、低迷続く日本の賃金【元IMFエコノミストが解説】
※画像はイメージです/PIXTA

日本の賃金は1990年代後半にピークを迎えて以降、低迷を続けています。この影響により、未来を担う若者の年収や定年後の退職金も大きく減ってきています。本記事では、元IMF(国際通貨基金)エコノミストで東京都立大学経済経営学部教授の宮本弘曉氏による著書『一人負けニッポンの勝機 世界インフレと日本の未来』(ウェッジ社)から、日本の賃金動向について解説します。

親世代より貧しくなる子世代

さらに、別の統計でも賃金の動きを確認しておきましょう。図表3は、国税庁「民間給与実態統計調査」による、平均年収(1年を通じて勤務した給与所得者のもの)の推移を示しています。

 

【図表3】平均年収の推移

 

平均年収のピークは1997年の約467万円で、その後、2009年の約406万円まで大幅に減少しました。この10年ほどは上昇していますが、2021年の平均年収は約443万円であり、ピーク時の1997年と比較して約24万円も低い金額となっています。

 

賃金が上がらず、若者が明るい未来を描けない現状

賃金が上がらなければ、人々の生活水準は上がりません。親世代が達成してきた生活水準を子世代が超えることも難しくなります。

 

実際に、2010年から2019年の10年間の平均給与額は約421万円だったのに対して、30年前の1990年代の10年間の平均年収は約455万円となっており、子世代の年収は親世代よりも約34万円も低くなっていることがわかります。これでは、若い人が明るい未来を夢見ることは難しくなってしまいます。

 

なお、定年後の生活の支えとなる退職金も、昔に比べてその額が大きく減っています。厚生労働省の調査によると、大卒者の平均退職金額は1997年には2871万円でしたが、2018年には1983万円と、この30年間で900万円近く低下していることがわかります。

 

 

宮本 弘曉

東京都立大学経済経営学部

教授

 

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宮本 弘曉

ウェッジ社

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