統計で見る日本の賃金
それでは、日本の賃金動向を詳しく見ていきましょう。
賃金に関する主要な統計には、厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」と「毎月勤労統計調査」、国税庁の「民間給与実態統計調査」があります。賃金構造基本統計調査は、年齢、勤続年数、学歴、産業、雇用形態など属性別に賃金の実態を詳細に調査しています。ただし、大規模調査のため、年に1回だけ実施されます。
一方、毎月勤労統計調査は、その名の通り毎月行われる賃金構造基本統計調査の簡易版です。毎月調査が行われ、翌月末に速報が公表されるため、短期的な賃金動向を把握することができます。
民間給与実態統計調査は、民間事業所の給与所得者を対象としたもので、年間の給与実態を給与階級別、事業所規模別、企業規模別などで明らかにしています。また、この調査は租税収入の見積り、租税負担の検討、税務行政運営等の基本資料として利用されています。
それぞれの統計を参考に、賃金の状況を確認しましょう。
年齢、学歴、雇用状態によって大きく変わる賃金
令和4年賃金構造基本統計調査によれば、2022年の賃金は男女計で月額31万1800円、年額374.2万円となっています。男性の賃金は月額34万2000円、女性の賃金は月額25万8900円となっており、男女間の賃金格差(男性=100)は75.7となっています。
ただし、賃金には、年齢や学歴、企業規模、雇用形態などによって大きな差が存在します。
まず、年齢が上がるにつれて賃金も高くなります。20〜24歳の月給が21万8500円であるのに対して、55〜59歳の月給は37万円と、約1.7倍になります。年齢が高くなると賃金が高くなる傾向は、女性よりも男性で強くなっています。
次に、学歴別では、男女計で高校卒の月給が27万3800円、大学卒が36万2800円、大学院卒が46万4200円となっており、学歴が高いほど賃金も高くなっています。大学院卒の賃金は、高校卒の賃金の約1.7倍となっています。
さらに、企業規模別の賃金も見てみましょう。「賃金構造基本統計調査」では、常用労働者数で企業規模を分類し、1000人以上を「大企業」、100〜999人を「中企業」、10〜99人を「小企業」としています。
賃金は、大企業で月額34万8300円、中企業で30万3000円、小企業で28万4500円となっており、企業規模が大きいほど賃金も高いことがわかります。大企業の賃金を100とすると、中企業の賃金は87.0、小企業の賃金は81.7となっています。
雇用形態別に賃金を見ると、正社員・正職員の月額32万8000円に対して、正社員・正職員以外の月給は22万1300円と、正社員・正職員の月給よりも3割以上低くなっています。
また、「賃金構造基本統計調査」から外国人労働者の賃金も確認できます。2022年の外国人労働者の月給は24万8400円で、調査全体平均の約8割となっています。
短期的な賃金動向
次に、毎月勤労統計調査の数字を確認しておきましょう。毎月勤労統計調査は、賃金構造基本統計調査の簡易版なので、その数字に大きな差はありません。2022年度の給与額(現金給与総額)は月額32万5817円、年額391万円となっています。
毎月勤労統計調査では、労働者を一般労働者とパートタイム労働者の2つに分けていますが、一般労働者の月給は42万9051円、パートタイム労働者の月給は10万2078円となっており、両者の差は年間で約392万円にのぼります。
年間の給与実態
民間給与実態統計調査も見ておきましょう。令和3年分の調査結果によると、給与所得者の平均給与は433万円で、男性545万円、女性302万円となっています。また、正規、非正規の平均給与について見ると、正規508万円に対して、非正規は198万円と正規の給与の約39%となっています。
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