(※写真はイメージです/PIXTA)

人生3大支出のひとつである「教育費」。3人以上の子どもがいる世帯に対して、大学の授業料を無償化する案が浮上して話題となりました。本記事では、金融業界25年のキャリアを持つFP田中和紀氏による著書『FPが教える!マネーリテラシーを高める教科書』(ごきげんビジネス出版)から、現状使える教育費の公的支援について解説します。

すべて公立でも1,000万円かかる教育費

そして小中学校への入学、高校や大学での教育費も支援はあります。小中高の公立では年間50万円程度、私立では100万円以上が必要で、大学でも同様です。トータルでは、すべて公立に進学したとしても1,000万円弱、私立であれば2,000万円を超える金額になります。習い事や塾などを加えると、さらに金額は大きくなりますよね。

 

これだけの費用をカバーする制度として、扶養控除・奨学金・教育ローン・高校無償化などあります。

 

2025年度から子3人以上で大学無償が話題…現状使える教育費に関する公的支援は?

扶養控除とは、所得控除で税金の優遇です。子どもを扶養に入れることで、16歳以上で年間38万円、19歳以上であれば63万円が控除となり、税金を少なくできます。

 

奨学金とは、学費を無利息や低利息で借りる制度で、主に大学進学時に使われるもの。学生である子どもがお金を借りる制度で、日本学生支援機構が行っており、就職後に返済していくことになります。無利息や低利息ですが、借金であるため、将来の返済計画を考えながら借りる必要があるでしょう。

 

教育ローンとは、親がお金を借りる制度です。日本政策金融公庫が行っており、こちらも低利息で借りられます。親の年収などに条件はあります。

 

高校無償化とは、年収などの条件はありますが、教育費の負担を軽くする制度です。高校等就学支援金は、世帯年収910万円未満などの条件で、授業料が支給されます。また、高校生等奨学給付金で住民税非課税世帯などは、授業料以外も支給されるのです。

 

大学に関しても、住民税非課税世帯や、それに準ずる世帯は、入学金・授業料・給付型奨学金を支給されます。

積み立てと保険の活用法

お金の準備には、預貯金の積み立てや保険なども活用しましょう。保険は学資保険やこども保険があり、保護者である親が万一亡くなっても、入学祝い金や満期保険金などは受け取れます。保険料も親の死亡以降は免除されます。

 

教育費は元本割れのない金融商品で準備するとよいのですが、近年は低利率で、あまり増えない状況です。少しでもリスクを取れるのであれば、NISAやつみたてNISAといった投資口座を使うのもよいでしょう。リスクがあるので、全財産をこれらで運用するわけではなく、資金の一部を投資に回すことで、効率よくお金の準備をするのです。

 

NISAとは証券口座ですが、利益を得ても税金を納める必要がありません。本来、株や投資信託で利益を得れば、税金を20%ほど納めなければならないのですが、NISA口座での投資は、その必要がないのです。投資ができる上限額は年間120万円で、期間は限定されていましたが、恒久化に向け整備されつつあり、日本の貯蓄から投資へのスタンスの影響を受け、制度は続きそうです(2024年からは新NISAがスタートし、上限額が引き上げられ、期限も無期限に)。

 

ちなみにNISAは私も利用しておりましたが、期限でロールオーバするのを忘れてしまい、一般口座に移転してしまいました。長期で投資するときには気をつけましょう。

 

つみたてNISAは、投資商品を積み立てていける非課税制度です。子どもが生まれ、学費があまり必要のないときに積立投資をはじめ、大学入学時にお金を引き出すような流れで、計画的に利用していきましょう。

 

投資はリスクもありますが、推奨される分散・長期投資は欧米での実績もあり、それなりの成果も出しています。投資原則に則り、メンタルを正常に保てば、よい成果も期待できるでしょう。

 

NISAとiDeCoの違いをよく問われることが多いのですが、NISAは老後も含めた、あらゆる資金の準備に適しています。一方iDeCoは、引き出しが老後に限られるため、老後資金を準備するものになります。うまく使い分けましょう。

 

 

田中 和紀

ファイナンシャルプランナー

 

※本記事は『FPが教える!マネーリテラシーを高める教科書』(ごきげんビジネス出版)一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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