個人事業主だけが加入できる「国民年金基金」
国民年金基金は、個人事業主が税制優遇を受けながら自分で年金を準備する「私的年金」の一種です。
個人事業主しか加入できず、会社員・公務員は対象外です。その理由は、国民年金基金が個人事業主にとって、会社員・公務員の厚生年金の「2階部分」に代わる制度として用意されたものだからです。
すなわち、会社員・公務員が加入する厚生年金には1階部分の「基礎年金」に加え「2階部分」の「厚生年金」があります。これに対し、自営業・フリーランスが加入する「国民年金」は1階部分(基礎年金)しかなく「2階部分」がありません。
そこで、個人事業向けの「2階部分」に相当する制度として、国民年金基金が設けられたのです。1991年4月から施行されました。現在、国民年金基金には「全国国民年金基金」と「職能型国民年金基金」の2種類がありますが、事業内容はまったく同じです。
国民年金基金に加入できるのは、20歳~59歳の「国民年金の第1号被保険者」(自営業、フリーランス等)と「任意加入者」です。ただし、以下の人を除きます。
・国民年金の保険料の免除を受けている(産前・産後期間の免除等を除く)
・農業者年金の被保険者である
国民年金基金の2つの税制メリット
国民年金基金では、以下のように、掛金を支払うときと、年金を受給するときに、それぞれ税制メリットを受けることができます。
・掛金支払時:全額が所得控除(社会保険料控除)の対象になる
・年金受給時:公的年金等控除の対象となる
◆掛金支払時は全額が所得控除になる
掛金は「iDeCoと合算して月68,000円」を上限として設定でき、全額が所得控除(社会保険料控除)の対象となります。つまり年間最大81万6,000円が全額所得控除となるのです。しかも、自分だけでなく、生計を同じくする配偶者等の親族の分についても所得控除を受けられます。
これによって、課税されるタイミングを、年金を受給するときまで繰り延べることができます。
◆年金受給時のメリット|「公的年金等控除」により税負担が軽くなる
次に、年金を受給するときも税制優遇を受けられます。すなわち、受け取った年金は「雑所得」として所得税・住民税の課税対象ですが、「公的年金等控除」を受けることによって税負担が軽くなります。
公的年金等控除の額は、他の所得の額に応じて細かく定められています。公的年金等控除を考慮した雑所得の額は、[図表1]~[図表3]の通りです。
このように、国民年金基金に加入すると、掛金支払時は全額所得控除になり、年金受給時には「公的年金等控除」を受けられるので、税負担が大きく抑えられるということです。