国民年金基金のプラン
◆「終身年金」2種類、「確定年金」5種類
国民年金基金のプランは「終身年金」2種類と「確定年金」5種類です。1口目は必ず「終身年金」から選び、2口目から「終身年金」「確定年金」の好きなプランを選ぶしくみになっています。
「終身年金」と「確定年金」の違いは、年金を受給できる「期間」の違いです。
「終身年金」は65歳から一生涯年金を受給できます。一方、「確定年金」は決まった期間のみ年金を受給できるものです。「年金」の額は「1口」ごとに決まっています。また、「掛金」の額は「性別」と「加入時の満年齢」によって決まっています。
前述のように、掛金の上限はiDeCoと合算して月6万8,000円までです。また、「確定年金」の年金額は「終身年金」の年金額を超えてはならないという縛りがあります。
以下、「終身年金」「確定年金」のそれぞれのプランの概要を紹介します。
◆終身年金|A型とB型
まず、終身年金のプランは「A型」と「B型」の2種類あり、それぞれ以下の通りです。
【終身年金のプラン】
・終身年金A型:65歳~80歳の15年分が保証される・掛金が割高
・終身年金B型:受取期間の保証なし・掛金が割安
「終身年金A型」は、本人が80歳より前に亡くなった場合も、遺族が80歳までの分の年金を引き継いで受給できます。65歳~80歳の15年分が「保証」されているということです。その代わりに掛金は割高です。
これに対し、「終身年金B型」は「A型」のような保証がない代わりに掛金が割安です。
◆確定年金|Ⅰ型~Ⅴ型
次に、確定年金には「Ⅰ型」~「Ⅴ型」の5種類がありです。年金を受給できる期間が確定しており、その期間中に本人が亡くなっても遺族が代わって受給することができます。
「Ⅰ型」~「Ⅴ型」の内容はそれぞれ以下の通りです。
・確定年金Ⅰ型:65歳~80歳の15年間保証
・確定年金Ⅱ型:65歳~75歳の10年間保証
・確定年金Ⅲ型:60歳~75歳の15年間保証
・確定年金Ⅳ型:60歳~70歳の10年間保証
・確定年金Ⅴ型:60歳~65歳の5年間保証
「35歳1ヵ月・男性・年収600万円」のシミュレーション
国民年金基金に加入するとどれくらい得をするのでしょうか。「男性・35歳1ヵ月・年収600万円」のシミュレーションをご覧ください。
【プラン例】
・1口目:「終身年金A型」(掛金月額1万140円・年金月額1万5,000円)
・2口目~6口目(5口):「終身年金A型」(掛金月額1万6,900円・年金月額2万5,000円)
・7口目~12口目(6口):「確定年金Ⅰ型」(掛金月額合計1万4,280円・年金月額3万円)
◆銀行に預金しておくよりもお金が増える(6.6%、金利上昇すればさらに増える)
まず、節税効果を加味しなくても、単純に、銀行に預けておくよりもお金が増えるという効果があります。
掛金は月額合計4万1,320円(年間合計49万5,840円)であり、60歳になる前月まで24年11ヵ月間加入すると総額1,235万4,680円となります。
これに対し、80歳までの年金額は15年間で総額1,317万3,000円なので、掛金総額より約6.6%増える計算になります。わが国では超低金利が続いており、銀行に預けておいてもお金は増えないので、これだけでも大きなメリットです。
なお、金利が変動した場合には、それに合わせて国民年金基金の利率が見直されることになっています。したがって、金利が上がった場合には利率も上がることになります。
◆掛金の所得控除で「実質150%」にも
それに加え、さらに税制優遇を受けることができます。
まず、掛金年間合計49万5,840円について、全額所得控除を受けることができます(社会保険料控除)。
仮に、60歳になる前月までずっと年収が600万円だったとすると、所得税・住民税の負担は年間15万0,834円軽減されます(所得税は復興特別所得税を含み、住民税は10%として計算)。
これを考慮に入れれば、年間の掛金は実質的に34万5,006円、24年11ヵ月の掛金総額は859万6,399円ということになります。これに対し、80歳までの年金総額は1,317万3,000円です(本人が80歳になる前に亡くなったら相続人が引き継ぐことができます)。したがって、税制優遇の効果を加味すると、何もしない場合と比べて約150%に増えるのと同じ計算になります。
このように、国民年金基金は、掛金が全額所得控除になるなどの税制優遇を受けられるうえ、お金も増えるので、効率よく「プラスα」の年金を準備することができます。「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「小規模企業共済」といった制度と比較して、あるいは組み合わせる手段として、活用を検討することをおすすめします。
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