“ちょっと、強くなりすぎだぞ”…欧米諸国が日本を牽制
ワシントン会議…米、英、日、仏、伊、蘭、中、ポルトガル、ベルギーが参加
一方、極東における戦後の秩序は、1921年に開かれたワシントン会議で規定されました(ワシントン体制)。その主眼は日本を抑え込むことです。
近代日本は日清戦争(1894~95)、日露戦争(1904~05)、第一次世界大戦(1914~18)と全て勝利。特に大戦では、ヨーロッパ諸国が総力戦で疲弊するのを尻目にドイツ植民地を占領しました。
戦後、英仏米らは「ちょっと日本が強くなりすぎだぞ」と極東の勢力図が一変したことに懸念を抱き、会議に至りました。
まず、太平洋の利害調整をした四カ国条約では日英同盟が解消されました※1。当然日本にとっては痛手。九カ国条約をうけて、大戦中に抜け駆けした日本がドイツから奪った山東権益が返還される運びとなりました(二十一カ条の要求※2もほぼ廃棄)。
※1 「四カ国で協調=日英だけの同盟は不要」というニュアンス
※2 山東権益の譲渡などを求めていた
また大戦で疲弊した諸国が海軍の維持費に苦しんでいたことを背景に、ワシントン海軍軍備制限条約が結ばれ、日本の主力艦の保有比率は米英の6割に規定されました。
日本にとってポジティヴに考えるならば「軍事費が節約できるし、大国アメリカの6割なら上出来だ」。一方、ネガティヴ思考なら「我が日本海軍は永久にアメリカに追いつけないではないか!」となります。
日本軍部には、やはり後者の考えを持つ人が多かったようですね。
平尾 雅規
河合塾
世界史科講師
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